▲イラスト=UTOIMAGE

 大法院は3日までに、自分を強制的に精神病院に入院させようとしていると錯覚し、妻を殺害したとして起訴された夫(77)の上告審で懲役18年の判決を確定させた。

 被告である夫は昨年9月、全羅北道群山市の自宅で妻を凶器で数回刺して殺害したとして起訴された。被告は息子が妻に電話し、「父親を療養病院に送り、精神疾患治療を受けさせよう」という趣旨の会話をしているのを横で聞き激怒し、犯行に及んだとされる。被告は以前に事業に失敗し、2020年にうつ病と診断され、治療を受けていた。

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 被告は犯行当時、家族に障害者関連事業を始めると何度も相談。家族は事業計画が非現実的だとし、被告に誇大妄想や執着などの精神疾患があると考え、精神科での診療や療養病院への入院などを話し合っていた。ただ、捜査の結果、「強制入院させようとした」という被告の主張とは異なり、妻は「夫を精神病院に入院させることはできない」と反対し、むしろ療養病院の治療を主張。息子も帰省して父親と一緒に診療を受けようとするなど、倫理に反するような言動はなかったという。

 一審は「50年以上夫婦として暮らしてきた被害者を攻撃し、死に至らしめ、子女が大きな心理的衝撃と情緒的混乱を訴えている」とし、懲役18年を言い渡し、 二審も同じ判決を下した。裁判所は「被告には事業に対する病的な執着などやや理解しにくい言動があり、家族が精神科医院に予約していた」とし、「被告のそうした症状が犯行動機に影響を与えた可能性があるが、被害者は深刻な身体的・精神的苦痛を体験して人生を終えたものとみられる」と指摘した。

 A氏が心神耗弱(こうじゃく)を主張して上告したが、大法院は「被告の年齢、行動、被害者との関係、犯行の動機、手段、結果などさまざまな事情からみて、懲役18年の判決を維持したことが不当だとは言えない」として上告を棄却した。

キム・ウンギョン記者

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