▲イラスト=UTOIMAGE

 世界的ピアニスト、イム・ユンチャン(21)が、かつて海外でのインタビューで韓国生活について否定的な発言をしていたことが、今あらためて注目されている。

 イム・ユンチャンは今年8月、イタリアの有力紙「ラ・レプッブリカ」とのインタビューで「韓国が恋しくないか」という質問に対し「いいえ」と答えた。イム・ユンチャンは「韓国で送った最後の学生生活は本当に苦痛だった」「地獄にいるようだったし、死にたいと思うこともあった」と話した。さらに「今は公演があるときだけ韓国に帰る」と続けた。

【写真】世界的ピアニストのイム・ユンチャン(21)

 韓国生活が苦痛だった理由については、韓国社会の競争文化を挙げた。イム・ユンチャンは「韓国は狭くて人口が多く、競争が激しい。誰もが前に出たいと思っているし、そのために、時には他の人を傷つけることもある」と話した。さらに「僕が17歳ぐらいのとき、ピアノで頭角を現し始めると、政治家や実業家までが不要な圧力をかけてきた」「そのせいで大きな悲しみに陥った」と明かした。

 この発言はインタビューの直後にはさほど注目されなかったが、最近になって韓国のインターネットのコミュニティーサイトで紹介され、共感を呼んでいる。「入試が過酷すぎるんだよ」「韓国は互いに首を絞め合って絶対にその手を離さない雰囲気」「芸術・体育系は嫉妬とけん制が尋常じゃなかっただろう」などの反応が相次いだ。

 イム・ユンチャンは現在、米ボストンのニューイングランド音楽院に留学している。2023年にイム・ユンチャンが師事するピアニストのソン・ミンス氏(49)が韓国芸術総合学校を去ってニューイングランド音楽院に教授として赴任したことから、イム・ユンチャンも共に渡米して同院に留学し、現地で師弟関係を続けている。

 イム・ユンチャンは7歳でピアノを始め、芸苑学校(ソウルにある芸術系の中学校)を首席で卒業、韓国芸術総合学校音楽院に入学した。2019年にはイサン・ユン国際コンクール(ピアノ部門)で1位になり、22年のヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールでは過去最年少となる満18歳で優勝を果たした。

 昨年リリースしたCD『ショパン:練習曲集』は、今年4月に行われた英国のBBCミュージック・マガジン・アワードで「今年のCD賞」「器楽賞」「新人賞」を同時に受賞した。単一のCDで3部門を席巻するのは同授賞式史上、初めてのことだった。

チョン・アイム記者

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