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尹前大統領妻巡る疑惑 特別検察官による捜査終了=韓国
【ソウル聯合ニュース】韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の妻、金建希(キム・ゴンヒ)被告を巡る不正疑惑を捜査する特別検察官のチームが28日、180日におよぶ捜査を終える。
同チームは、大統領よりも大きな権力を意味する「V0(ブイゼロ)」と呼ばれた金被告の数多くの犯罪行為を明らかにし、起訴して断罪するという発足目的をある程度達成した。しかし、完結できなかった一部の主要疑惑の捜査は警察庁国家捜査本部に引き継がれる。
7月2日に正式に捜査を開始した同チームの初期捜査は、「3大疑惑」とも呼ばれる輸入車ディーラー「ドイツ・モーターズ」の株価操作関与疑惑、政治ブローカーのミョン・テギュン氏が尹政権で与党だった「国民の力」の公認候補選びに不正に介入した疑惑、呪術師のチョン・ソンベ被告と共謀し、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の元幹部から教団に便宜を図る見返りにダイヤモンドのネックレスなど計8000万ウォン(約870万円)相当の金品を受け取った疑惑に集中した。
これらの疑惑は国民的関心が高かったにもかかわらず、捜査機関が長期間にわたり明確な結論を出せなかったことが、特別検察官による捜査実施の主な要因となった。
特別検察官チームは7月の1カ月間、疑惑の関係者に対する捜査を通じて金被告の嫌疑を固めた。
証拠を集め、関係者の供述を得た同チームは、8月6日に金被告を初めて出頭させた。約11時間にわたり行われた取り調べで金被告は容疑を全面否認した。翌7日に金被告に対する逮捕状を請求し、5日後、裁判所は証拠隠滅の恐れがあるとして令状を発付した。
金被告の身柄を確保した同チームは5回の取り調べを行った後、8月29日に資本市場法違反やあっせん収賄などの罪で起訴した。大統領や大統領経験者の妻が捜査機関に呼び出されて取り調べを受け、逮捕され、起訴されたのはいずれも憲政史上初めてだった。
その後、同チームは公訴維持に注力すると同時に、捜査の過程で把握した別の犯罪疑惑を掘り下げる第2ラウンドに突入した。
疑惑の代表的なものは、金被告が複数の人物から高額のアクセサリーなどを受け取り、不正な請託を受け入れたとされる疑惑だった。
建設会社会長の李培鎔(イ・ベヨン)前国家教育委員長、元検事の金相玟(キム・サンミン)氏、犬型ロボットの販売などを手掛ける事業家が人事や利権を巡る請託の見返りとして金被告に高額のネックレス、イヤリング、金の亀の置物、時計、絵画を渡していたことが次々と明らかになった。
同チームは、金被告に金品を渡したと疑われた人物を順次、出頭させ、家宅捜索を実施する一方、チョン・ソンベ被告、旧統一教会総裁の韓鶴子(ハン・ハクチャ)被告、国民の力の重鎮国会議員の権性東(クォン・ソンドン)被告など尹前政権と旧統一教会の癒着疑惑の関係者を全員逮捕し、起訴した。
人事・利権を巡る請託の見返りを受けた疑惑を裏付ける物証と供述を十分に確保したと判断した同チームは、金被告をさらに2回出頭させ取り調べ、今月26日に特定犯罪加重処罰法上のあっせん収賄罪で追起訴した。尹前大統領の関与の有無を明らかにできなかったことは心残りとなった。
これにより同チームの捜査は終了した。
ただ、捜査期間の終盤には、国民の力だけでなく現与党「共に民主党」の政治家も旧統一教会から不正な金品を受け取った状況を把握していながら十分に捜査しなかったとして、同チームは職務放棄容疑で告発された。
また、中堅建設会社、三扶土建の株価操作疑惑、ソウルと京畿道・楊平を結ぶ高速道路のルートを金被告一族が所有する土地の近くに変更させようとした疑惑、金被告の側近で「執事」とされるキム・イェソン被告の疑惑と金被告の関連性を解明できなかったことは汚点として残った。
これらを含む残る全ての捜査は28日以降、警察に引き継がれる予定だ。