▲ヒューマノイド「アトラス」が自動車工場で作業を行う様子を描いた予想図/現代自動車

 現代自動車労組は22日、ヒューマノイド(人型)ロボットの生産現場投入について、「労使合意なしでは1台たりとも受け入れられない」とし、反対の立場を表明した。現代自グループが今月初め、米ラスベガスで開かれた「CES2026」で公開したヒューマノイドロボット「アトラス」に反発した格好だ。投資家は「アトラス効果」を材料視したが、労組は雇用が脅かされることを懸念して、会社側をけん制する動きに出た。

【表】ヒューマノイド「アトラス」VS人間

 全国金属労組現代自支部は情報誌を通じ、「海外への生産移転と新技術導入(ロボットによる自動化)は労使合意のない一方通行だ」とし、「絶対に容認できない」と主張した。労組は「平均年収1億ウォンとした場合、24時間稼働に投じられる作業員3人の人件費は年間3億ウォン(約3240万円)だが、ロボットは初期購入費用がかかった後は維持しかかからないため、資本家にとっては良い名分(?)になる」とし、「現代自で人件費節減のためのAIロボット投入が迫っている」と指摘した。

 アトラスの価格は1台2億ウォン前後、年間維持費は1400万ウォン前後というのが証券街の分析で、 最大24時間稼働可能だ。現代自動車グループの主な系列会社7社の平均人件費は1億3000万ウォン、勤務時間は1日8~10時間だ。ヒューマノイドロボットが本格的に投入されれば、急速に生身の人間に取って代わるというのが労組の懸念だ。 

 ヒューマノイドロボットは生産現場にとって革命的な技術だ。アトラスの公開をきっかけとして、現代自の株価が高騰したことも、市場にプラス効果への期待があるためだ。しかし、生産台数の変化、配置転換、雇用問題の発生が避けられないという点で労組の宣言はヒューマノイド時代の新たな労使対立の序章と言える。

■米国からロボット導入方針

 現代自グループは2028年までにアトラス3万台の量産体制を構築し、米国にロボット生産拠点を設置。生産現場に順次投入する構想を示した。現代自は工場の「スマートファクトリー」化を既に進めている。米国工場ではロボットアームが車体を作り、無人運搬車(AGV)に搭載された部品が決まった動線に沿って動く。品質チェックにはボストンダイナミクスが作ったロボット犬「スポット」が投入される。ここにアトラスが加われば、これまでの作業員中心の生産方式からロボットが生産・検査全般を担当する方式に転換できる。

 労組が敏感なのは、ロボット導入が海外工場中心に進んでも、韓国国内の業務に影響を及ぼしかねない点だ。現代自グループが最新工場である米ジョージア州の電気自動車(EV)組立工場、メタプラント・アメリカ(HMGMA)など海外工場にロボットを先行導入すれば、コストは下げて生産性を高める余地が生じる。米国工場の生産が増えれば、韓国工場からの対米輸出減少につながりかねない。自動車業界関係者は「グループの業務配分を巡り、人間中心の韓国工場がロボットが多い海外工場と生産性、品質の面で競争することになる」と述べた。全国金属労組現代自支部が「海外への生産移転」問題を挙げたのもこのためだ。

 労組とは対象的に市場は歓迎している。現代自の株価は年初来78%も上昇し、時価総額は108兆ウォンを超え、国内3位となった。CES2026でアトラスを公開した後、投資家はロボットによるコスト節減と生産性向上、すなわち「フィジカルAI」への大転換に期待したのだ。労組も「最近の株価急騰の主因はフィジカルAI(ロボット)企業として再評価されているためだ。笑うべきか泣くべきか、単なる自動車メーカーではなく、ロボット·AI企業として価値が評価されている」と指摘した。

 世界的なAIへの大転換の中で、最近産業界ではさまざまな形態のフィジカルAIが抗えない趨勢となった。サムスン電子とLG電子もロボット事業を強化すると同時に、ヒューマノイドの開発に参入した。財界は特に強硬な労組で知られる現代自でロボットを先制的に導入することの意味が大きいと受け止めている。多数の下請け会社の労組を相手に発注元が個別に交渉しなければならない状況を生む「黄色い封筒法」(労働組合法と労働関係調整法の一部改正)が昨年成立した際、ロボット株が一斉に上昇したのと同じ理由だ。

 定年延長と週4.5日労働の導入など、企業にとっては労働生産性が低下しかねない政策が同時多発的に推進されていることもロボット導入を後押ししている。財界関係者は「ロボットはバッテリーさえ交換すれば24時間ずっと働き、ストライキもしない。国内では労組のせいで導入が遅れるかもしれないが、海外でヒューマノイドロボットを先行してテストする企業が多い」と語った。

イ・ジョング記者

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