社説
社会的合意なしに韓国最高裁判事を14人から26人に増やして四審制、国民のためのものではない【2月12日付社説】
進歩(革新)系与党「共に民主党」が、大法官(最高裁判事)を12人増やして現行の14人から26人にする裁判所組織法改正案と、裁判所の判決に対して憲法訴願を出せるようにする「裁判訴願法案」を、国会法制司法委員会で強行処理した。民主党がこれらの法案を、旧正月(今年は2月17日)の連休後の本会議で通過させたら、李在明(イ・ジェミョン)大統領は任期中に大法官22人を任命できるようになる。自分の公職選挙法違反事件を有罪の趣旨で破棄差し戻しした今の大法院(最高裁)の構成を、完全に変えることができるのだ。仮にここで有罪が出ても、裁判訴願を活用して憲法裁判所で「事実上の四審」を受けられる。
大法官の増員と裁判訴願は、司法システムの骨幹を変える重大な事案だ。時間がかかってでも社会的合意が必要で、何より、司法府の意見を反映しなければならない。ところが民主党は、大法院の「深刻な副作用が予想される」という意見を無視して速戦即決で推進している。民主党は、大法官の増員に強い関心を示していなかったのに、大法院が李大統領の公職選挙法違反事件を有罪の趣旨で破棄差し戻しするや、大法官増員を推進した。裁判訴願の導入も、曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長に対する聴聞会と同時に押し付けた。結局、これは全て、李大統領に有罪判決を下した大法院に圧力をかけるための政略的意図だとみるほかない。
大法官12人を一挙に増員しようと思ったら、中堅判事およそ100人を裁判研究官として大法院に派遣しなければならない。事実上、大規模な地裁を一つ無くす結果になる。それでなくても深刻な下級審の判決遅延がさらにひどくなりかねない。一政権が大法官をこのように大挙して変える場合、政治的理念や傾向に基づく「コード人事」だという論争を呼び起こすこともあり得る。当然、司法の権力統制機能は壊れる。ベネズエラはチャベス政権が最高裁判事を12人増員した後、露骨なコード人事を行って独裁国家へと転落した。
裁判訴願も同様だ。今、大法院が処理している年間4万件の事件のうち、相当数が憲法裁に流れていったら、韓国国民は「訴訟地獄」に陥る。文炯培(ムン・ヒョンベ)元憲法裁判所長権限代行が「迅速裁判のために大法官を増やそうといいながら、裁判をさらに遅らせかねない裁判訴願を導入しようというのは矛盾」と言ったのもそのせいだ。憲法裁も事件処理の負担で機能まひ状態に陥りかねない。2024年に憲法裁が受理した事件は2522件だが、裁判訴願が導入されたら、毎年1万2000件が憲法裁に流れてくるだろうと予想されている。現在の規模では、憲法裁はこの事件を担当できない。
司法システムは国を維持する根幹だ。国の根幹を、社会的合意なしにこんなやり方で強行するのであれば、民主法治国とはいえない。