▲イラスト=UTOIMAGE

 【NEWSIS】米国で、先天性の難聴を1回の治療で回復させる遺伝子治療薬が初めて承認され、聴覚障害治療の枠組みが変わるとの期待が高まっている。

 CNNが23日(現地時間)、報じた。それによると、米国食品医薬品局(FDA)は、遺伝性の難聴を治療する遺伝子治療薬「オタルメニ(Otarmeni)」を承認したと明らかにした。これは、特定の遺伝子欠陥により生まれつき音が聞こえない患者に対し、正常な遺伝子を届けて聴覚機能を回復させるという方法だ。

 今回の治療薬は、OTOF遺伝子の突然変異による希少な難聴を対象としている。OTOF遺伝子は、耳の内耳の有毛細胞が音の信号を脳に伝えるのに必要な「オトフェリン」タンパク質を生産する役割を果たす。

 この遺伝子に異常が生じると、「オトフェリン」タンパク質が機能せず、耳で感知した音が脳に伝わらない。米国では毎年およそ20-50人の新生児にこの疾患がみられるという。

 オタルメニは非病原性ウイルスを利用して正常なOTOF遺伝子を内耳の蝸牛(かぎゅう)に直接届ける。人工蝸牛手術と似た方法で1回だけ投与されるが、補聴器や人工蝸牛のように音を補助するのではなく、聴力損失の根本的な原因を直接治すという点で意味が大きい。

 20人の小児を対象に行われた臨床試験では、16人が治療後およそ5カ月以内に聴力の改善を示した。また、11カ月以上の追跡観察が行われた一部の患者は、聴力が事実上正常レベルに達したことが分かった。

 臨床試験に参加したある小児の母親は「子どもは一生補助機器に頼らなければならないかもしれないと言われていましたが、今では同年代の子どもたちと同じレベルで聞こえるようになりました。奇跡のようです」と語った。

 オタルメニはその効果だけでなく価格政策でも注目を集めている。一般的に、希少疾患の遺伝子治療薬は1回の投与費用が数百万ドル(数億円)に達するが、オタルメニを開発した米製薬企業リジェネロン(Regeneron)は、米国内の患者に治療薬を無料で提供すると明らかにした。ただし手術の過程で発生する一部費用は患者が負担する可能性もある。

 リジェネロンの共同創業者で最高科学責任者のジョージ・ヤンコポーロス氏は「科学、特にバイオテクノロジーが人間にどれほど大きなプレゼントをもたらすことができるのかを示したい」と話した。

 現在、この治療が適用される患者は、遺伝性難聴患者全体の約1-3%に過ぎないが、類似の方式の治療研究は急速に広がっている。複数の製薬企業や研究機関が他の遺伝子変異に対する治療薬の開発に乗り出した状態だ。

 ただし、治療の効果がどれほど長く続くのかについては現時点では確認されていない。研究陣は、効果が長期にわたって続く可能性に期待しているが、さらなる追跡研究が必要との立場だ。

キム・ヘギョン記者

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