▲3月10日、ソウル市麻浦区の弘大通りにあるミルクティー専門店の前に設置されたパンダのキャラクター・オブジェ。同ブランドの本社は中国四川省成都市にある。/イ・シンヨン映像メディア記者

 3月10日午後1時ごろ、ソウル市麻浦区の弘大通りにあるミルクティー専門店「茶百道(ChaPanda)」を訪れた。20-30代の二人の女性がパンダのキャラクターの描かれたテイクアウト用のカップを手に、店の前のパンダのオブジェの前で「フーバオが懐かしい」と言いながら、写真を撮っていた。このミルクティーブランドの本社は、ジャイアントパンダの故郷として知られる中国四川省成都市にある。2年前にソウル市江南区で初出店して以降、海外店舗約40カ所(昨年基準)のうち半数近くを韓国に展開している。韓国市場での反応が良好なためだ。

【写真】韓国で市民権を得た中国ブランド

 これまで中国製品の消費は主に工業製品に集中していた。しかし、最近では飲食、化粧品、キャラクター、ファッションなど文化やライフスタイル分野へと広がりを見せている。中国ブランドに対する「安かろう悪かろう」という認識も大幅に薄れてきた。「中国製っぽくて安っぽい」という否定的な意味で使われていた「中ティー(中国っぽさ)」という表現も、最近では華やかで個性の強いスタイルを指す言葉として使われ始めている。

■「コスパ」から始まった中国製品の消費

 かつて中国製品は「コストパフォーマンス」が最大の強みとされてきた。現在では機能や性能面でも韓国製品に大きく劣らないとの評価が出ている。ロボット掃除機ブランドのRoborock(ロボロック)や空気清浄機・モバイルバッテリーなどで知られるXiaomi(シャオミ)がその代表だ。市場調査会社IDCによると、Roborockは昨年、韓国のロボット掃除機市場でシェア50%を突破した。

 注目すべき点は、最近では工業製品以外の分野でも中国ブランドの影響力が急速に拡大している点だ。特に飲食分野でその傾向は顕著と言える。タンフル(中国の伝統菓子「糖葫蘆〈タンフールー〉」が韓国でアレンジされて広まった)のように特定メニューが一時的に流行する段階を超え、中国のフランチャイズが相次いで韓国市場に進出している。中国のミルクティー・ブランド「Chagee(チャジー)」は最近、韓国進出を正式に決定し、今年上半期にソウル市の江南、竜山、新村などで店舗をオープンする計画だ。すでに韓国に進出している中国のミルクティーブランド「蜜雪氷城(ミーシュー)」「HEYTEA(ヘイティー)」「Cha Panda(茶百道)」などが人気を集めていることから、市場性を確認したとの見方が出ている。中国の火鍋チェーン「海底撈火鍋(ハイディラオ)」は最近、羊肉串専門店「ハイハイ・スップルコチ(炭火串)」のグローバル1号店をソウル市中区明洞にオープンし、外食市場への参入に拍車を掛けている。

■ビューティー・ファッションにまで拡大

 ビューティー・ファッション分野でも中国ブランドの存在感が高まりを見せている。かつては「派手過ぎる」「ダサい」「目立ち過ぎ」と評されていた強い原色や個性の強い装飾、華やかなパターンといった中国風のデザインが、逆に「C(チャイナ)スタイル」と呼ばれ、「個性的」との評価を受けている。

 レース模様やハート型の装飾など、お姫さま風のパッケージ・デザインを特徴とする中国コスメブランド「Flower Knows(フラワーノーズ)」は昨年10月、ソウル市城東区聖水洞にポップアップストア(仮設店舗)をオープンした。同店舗には2週間で約2万7000人が足を運び、話題となった。最近ではファッションプラットフォーム「MUSINSA(ムシンサ)」や新世界のビューティーセレクトショップ「CHICOR(シコル)」にも出店している。MUSINSAによると、同ブランドが正式入店した2月25日には検索数が急増し、アイメーク部門で販売1位を記録した。値段は3万-4万ウォン(約3180-4240円)台と、韓国ブランドと大差はない。MUSINSAの関係者によると「入店後1週間で関連検索数が350%も伸びた」という。中国製化粧品に対する品質不信が強かった過去とは明らかに異なった様相を呈している。

 また、中国コスメブランド「JUDYDOLL(ジュディドール)」「INTO U(イントゥーユー)」などもオンラインを中心に認知度を高めている。韓国国家データ庁によると、中国製化粧品のネットでの購入額は2024年の3711億5400万ウォン(約390億円)から昨年は4216億ウォン(約450億円)へと増加した。

 中国式のメークも人気だ。つけまつげを何重にも重ね、肌を人形のように明るく見せる「ドウイン(抖音、中国版ティックトック)メーク」、強い陰影や華麗なグリッターを施す「網紅(ワンホン、インフルエンサー)メーク」などが代表的だ。元アイドルのイ・ミジュとタレントのパク・ミョンスがユーチューブで公開したワンホン・メーク動画は、それぞれ57万回、134万回の再生数をマークした。「中国人美女のようだ」「華麗な大陸スタイル」といった声が聞かれている。

 ファッション市場でも中国ブランドを指名買いする消費者が増えている。かつては中国工場で生産された衣類を無意識に消費していたが、最近では中国企業が企画・販売するブランド商品を積極的に選ぶ傾向が見られる。MUSINSAのセレクトショップでは、「ROARINGWILD(ロアリングワイルド)」やBLACKPINKのジェニーが着用して話題となった「SHUSHU/TONG(シュシュ/トング)」など18の中国デザイナーブランドを扱っており、昨年の取引額は前年比181%増となった。

 中国のビューティー・ファッション・ブランドが注目を集めている理由は何だろうか。専門家は、中国特有の強烈な色彩や誇張されたデザインが、SNS(交流サイト)を中心に「体験」を重視する若年層の消費文化と結び付き、急速に拡散したと分析する。中国人文経営研究所のユ・グァンジョン所長は「中国は習近平国家主席以前から、単なる『低価格品』と見なされてきた自国製品をブランド化する戦略を取ってきた」とし「その戦略がソーシャルメディア中心のグローバル消費文化と結び付き、成果を上げている」と説明する。

■有害成分やイミテーションが課題

 一方で疑問も残る。若年層を中心に反中感情が強い中、なぜ中国ブランドの消費が増えているのかという点だ。東アジア研究院が成人1514人を対象に実施した「2025年格差認識調査」では、中国に対する印象は否定的回答(71.5%)が圧倒的に多かった。特に20-30代は他の年齢層に比べて否定的認識が強い。

 まず、「政治・外交問題と消費は別」といった認識が作用している可能性がある。デザインや体験といった消費価値を基準に商品を選ぶ「実用消費」が広がっているためだ。仁荷大学のイ・ウンヒ教授は「実用志向の強い若者は、中国に対する反感とは別に、商品性に優れ、コンテンツやストーリーに魅力を感じれば購入する」とし「『中国製だから買わない』のではなく、『中国製でも気に入れば買う』ということだ」と述べた。

 また、グローバル流通プラットフォームを通じた購買が増え、消費者が「中国ブランド」であることを強く意識しなくなったとの分析もある。これらのプラットフォームはデザインや価格、性能を中心に情報を提示するためだ。「メード・イン・イタリア」「メード・イン・フランス」などを前面に押し出す欧州のブランドとは違って、中国のブランドは中国製というのを前面に押し出さない傾向にある。

 一方で、中国ブランドは韓国だけでなく、海外でも存在感を高めつつある。CNNテレビは先月25日、「米国の若者の間で中国風の服を着たりライフスタイルを取り入れたりする『チャイナ・マキシング(China Maxxing)』が拡大している」と報じた。北京の玩具メーカー「ポップマート」が展開するキャラクター人形「ラブブ」は昨年、世界的な人気を集めた。また、昨年11月、フランス・パリの高級百貨店にオフライン店舗をオープンした中国のファストファッション業者「SHEIN」は先月、順調な需要の伸びを背景に地方都市5カ所でも店舗を追加オープンしている。

 ただ、この流れがいつまで続くかは不透明との見方もある。ユ・グァンジョン所長は「中国製品にたびたび指摘されてきた有害成分やイミテーションの問題が、長期的な成長の足かせとなる可能性がある」と述べた。

チョ・ユミ記者

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