▲2日午前、釜山市北区の亀浦市場近くで露店を営むキム・ボクアクさんの周囲に「露店禁止」のバリケードが設置されている様子。/写真=キム・ドンファン記者

 2日午前、釜山市北区の亀浦市場近くの路上。キム・ボクアクさん(80)が露店でトマトやエゴマの葉などを売っていた。キムさんは、6月3日に投票が行われた釜山北甲選挙区国会議員補欠選挙で「チャルパプ(韓国式おこわ)おばあさん」として有名になった。キムさんは亀浦市場を訪れた無所属の韓東勲(ハン・ドンフン)候補に、チャルパプの弁当を渡した。キムさんと韓候補が路上でチャルパプを食べる姿を捉えたユーチューブ動画は、再生回数61万回を記録した。韓国政界からは「チャルパプおばあさんのおかげで、韓候補のイメージが変わった」との評が出た。

【写真】韓東勲議員、チャルパプを食べている様子(5月8日)

 この日訪れたキムさんの露店の周囲には、黄色いロープが張り巡らされていた。北区庁が6月26日、「露店禁止」と書かれた立て看板10個を設置し、ロープを張ったのだ。北区の関係者は「キムさんの露店を撤去してほしいという苦情の電話が1日に10件以上かかってくる」とし、「キムさんが自主撤去を拒否したので、立て看板を設置し、戒告状を発付した」と語った。

 このニュースはユーチューブを通じて瞬く間に広がった。韓東勲議員も6月28日にキムさんを訪ね、安否を気遣ったという。キムさんは「韓議員がやってきて『嫌がらせをする人がいるか』と何度も尋ねてくれた」とし、「韓議員が心配するといけないので、ただ『大丈夫、大丈夫』と答えた」と話した。

 住民のイさん(68)は「北区に60年以上住んでいるが、このようなやり方で露店を追い出そうとするのは初めて見た」とし、「韓議員を嫌っている人たちが、おばあさんに嫌がらせをするのではないかと心配で、毎日ここを訪れている」と語った。

 キムさんは淡々としていた。キムさんは「先週、中年女性たちが顔を真っ赤にしてやってきて『何のために北区の政治に首を突っ込むのか』と言ってきた」としつつ、「私は誰も憎んでいない。だから、ただ黙って聞いているだけだ」と語った。

 こうした状況が知れ渡ると、今度は逆に「あんまりではないか」という苦情が殺到し、北区は2日の午後、立て看板を撤去した。北区の鄭明姫(チョン・ミョンヒ)区長は「朝、報告を受けて状況を初めて知った」とし、「政治的な誤解を招く恐れがあるため、直ちに(立て看板の)撤去を指示した。今後は口頭での指導にとどめる計画だ」と述べた。

 キムさんは慶尚南道金海市に住んでいる。毎日地下鉄に乗って亀浦市場にやってくる。キムさんは「10年以上も露店を続けてきたのに、なぜ急にこんなことになるのか分からない」としながらも、「商売を続けられるようになって本当によかった」と話した。

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