▲イラスト=UTOIMAGE

 2011年に結婚したチャ・ミソさん(仮名・38)は、夫のキム・ヒョンス(仮名・39)による常習的な暴力に苦しんでいた。キムはタバコの火でチャさんの腕を焼いただけでなく、両親の前でチャさんの髪を掴んで引き倒すこともあった。2022年にキムの浮気と暴力が原因でチャさんはかろうじて離婚したものの、苦痛は終わらなかった。キムは復縁を要求してチャさんをストーキングし、住居に不法侵入した。裁判所が2度にわたり接近禁止命令を下したが、キムは気にも留めずに彼女の元を訪れた。

【図】家庭内暴力の検挙件数

 家族や恋人のような親しい関係で起きる「関係性犯罪」が続出している。本紙が1日、韓国警察庁を通じて入手した資料によると、家庭内暴力の通報件数は2021年の21万8680件から昨年は28万9368件と、4年で32.3%増加した。一方で警察による加害者の検挙件数は2021年の4万6041件から昨年は3万3635件と、逆に26.9%減少した。通報に対する検挙率は21.1%(2021年)から11.6%(2025年)に半減した。家庭内暴力の被害者の10人中9人は放置されている、という意味だ。

 これは、被害者が加害者の報復を恐れて、一度は通報したものの取り下げたり、捜査の過程で「処罰を望まない」として示談に応じたりするケースが頻発しているためだ。家庭内暴力などの関係性犯罪は、通常は被害者が望まなければ加害者をを処罰できない「反意思不罰罪」に該当する。ある警察官は「現場に出動しても、被害者が報復を恐れて『帰ってほしい』と言うケースが多い」と伝えた。

 2次加害も被害者たちを苦しめている。裁判所が加害者に接近禁止命令を下すまでには2日から1週間かかる。加害者が裁判所の命令に違反しても、即座に遮断する措置は事実上不可能だ。そのため、加害者が被害者に一日中「大量のメッセージ」を送りつけ、自宅周辺を徘徊するということが繰り返されている、と専門家らは指摘する。

 関係性犯罪が殺人などの凶悪犯罪につながるケースも後を絶たない。今年3月、京畿道南楊州市では、ある女性が事実婚関係にあったキム・フン(44)に殺害された。被害女性は何回も家庭内暴力やストーキングを通報していたが、警察がキムに対して電子足輪の取り付けなどに乗り出さなかった間に悲劇を迎えた。同じく3月、DVに苦しむ娘を守ろうとして婿の暴行により死亡した「大邱旅行カバン遺体」事件の被害者は、何カ月も暴力にさらされていたが、報復を恐れて警察に通報できなかったことが捜査で分かっている。

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