李大浩(イ・デホ)が台湾で仲間に振る舞ったサムギョプサル(豚バラ肉の焼き肉)1000人前、チームを優勝に導いた金寅植(キム・インシク)監督らスタッフが「ゲン担ぎ」のため東京で食べたヘムルタン(海鮮鍋)、東京ドームの外野席に突き刺さった朴炳鎬(パク・ピョンホ)の特大ホームランなど、つい先日韓国の優勝で幕を下ろした野球の国別対抗戦「プレミア12」は国民に多くの話題と力を与えた。日本が開催国として韓国..
続き読む
李大浩(イ・デホ)が台湾で仲間に振る舞ったサムギョプサル(豚バラ肉の焼き肉)1000人前、チームを優勝に導いた金寅植(キム・インシク)監督らスタッフが「ゲン担ぎ」のため東京で食べたヘムルタン(海鮮鍋)、東京ドームの外野席に突き刺さった朴炳鎬(パク・ピョンホ)の特大ホームランなど、つい先日韓国の優勝で幕を下ろした野球の国別対抗戦「プレミア12」は国民に多くの話題と力を与えた。日本が開催国として韓国に多くの不利な条件を突き付ける中での優勝だっただけに、その喜びと感動もひとしおだった。
しかし心から優勝の喜びを味わうには何かすっきりしないものが残るのも事実だ。今大会で韓国野球は「われわれは真のチャンピオン」と堂々と言えるだけの実力を世界に示せなかったからだ。
まず各国チームの投手のほとんどは球速150キロ台の速球を投げた。韓国戦に2回登板した日本の大谷翔平は160キロ台の剛速球を投げ続けた。彼がマウンドに立つと、韓国の打者たちは空振りを繰り返した。韓国の投手で150キロ台のボールを試合を通じて投げ続けることができるのは、高校卒業後シカゴ・カブスに入り、今年日本のロッテに移籍した李大恩(イ・デウン)くらいしかいない。そのため韓国は今大会で先発投手不足に苦しみ、どの試合も中継ぎ頼みだった。そのため金寅植(キム・インシク)監督は優勝に喜ぶよりも「指導者は選手たちがもっと速い球を投げられるよう、もっと情熱を注いで下半身を鍛えなければならない」と指摘した。
日本からは毎年のように「怪物」と呼ばれる投手が出てくるが、韓国は2005年の柳賢振(リュ・ヒョンジン)以後、10年以上にわたって彼を超える怪物は出てきていない。大谷とユースで戦った若手は皆負傷でリハビリ中か、あるいは今も伸び悩んで1軍の舞台に立てないケースばかりだ。
世代交代の必要性も強く感じた。日本は2020年の東京オリンピックで野球が正式種目に復帰することを見据え、今大会は若手を多く起用した。これに対して韓国は今回活躍した選手の多くは08年の北京オリンピックのメンバーで、4年後も現役として活躍できるか不透明な選手ばかりだ。また将来を見据えて代表チームの「侍ジャパン」に若い専任監督を置いている日本とは違い、韓国は大会が行われるたびに監督選びに苦労する。今回韓国代表の指揮を取った金寅植監督はプロ野球チームの監督ではなく、その仕事は韓国野球委員会(KBO)の技術委員長だ。プロ野球チームのどの監督も今大会の監督就任を断ったため、金寅植監督はやむなく監督就任に応じたのだ。
国際大会では良い結果がその後マイナスに作用することもある。優勝の喜びに酔って長期のビジョンを持てず、若手の計画的な育成を怠ってきたかつての悪循環がまた繰り返される恐れもあるだろう。リトルリーグには将来のメジャー進出を期待される才能ある選手が多くいるが、その数は中学、高校と年齢が上がるに従って少しずつ減る。優れた才能を育てて開花させる仕組みが韓国にはないのだ。親たちは子供を支えるのが大変で、指導者は自らの地位を守るため目の前の成績ばかりを気にする。例えば高校チームの監督たちは大学やプロに送り出した高校生の数でその能力が評価されるという。しかもそのような中、スポーツ選手の大学入試で不正が行われるケースもたびたび報じられている。若く才能ある選手たちをプロに入ってから大きく伸ばすには、中学や高校の時から基礎体力や基本的な技術・能力をしっかりと身に付けさせなければならない。しかし目の前の結果が全てと考える指導者たちは、そのようなことには考えも及ばない。韓国野球界は今回素晴らしい結果を残した。しかしこれはいつ大きな波が打ち寄せるか分からない砂の上だ。固い岩の上に打ち立てられた勝利こそ長く持ちこたえるのだ。
スポーツ部=姜鎬哲(カン・ホチョル)部長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
Copyright (c) Chosunonline.com