油断したらやられてしまう。わなに掛かってからではもう遅い。何も映画『哭声(こくせい)』について話しているわけではない。これがリオ五輪を目前に控えた韓国女子バレーボール代表チームの戦略だ。韓国の「餌」はキム・ヨンギョン(28)だ。
韓国女子バレーボールは、リオ五輪で1976年のモントリオール五輪(銅メダル)以来40年ぶりのメダル獲得を狙っている。韓国には「女子バレー界のメッシ」と呼ばれるキム・ヨン..
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油断したらやられてしまう。わなに掛かってからではもう遅い。何も映画『哭声(こくせい)』について話しているわけではない。これがリオ五輪を目前に控えた韓国女子バレーボール代表チームの戦略だ。韓国の「餌」はキム・ヨンギョン(28)だ。
韓国女子バレーボールは、リオ五輪で1976年のモントリオール五輪(銅メダル)以来40年ぶりのメダル獲得を狙っている。韓国には「女子バレー界のメッシ」と呼ばれるキム・ヨンギョンがいる。だからと言って、キム・ヨンギョンだけに頼ってばかりはいられない。「1人だけのチーム」になれば、4年前のロンドン五輪の二の舞いを演じてしまう。当時キム・ヨンギョンは、大会最優秀選手賞(MVP)と得点王に輝いたものの、韓国は4位の成績にとどまり、メダル獲得に失敗した。今回は変わらなければならないという声が聞こえてくる。
代表チームの「キム・ヨンギョン餌論」の核心は、相手チームがエース、キム・ヨンギョンに集中している間に他の選手たちを最大限に活用する、というものだ。それでこそキム・ヨンギョンの爆発も威力を増すというわけだ。FIVB(国際バレーボール連盟)も最近ホームページで「キム・ヨンギョンはチームの同僚に得点のチャンスを与える立派な餌(decoy)の役目を果たせる」と分析した。
まずは、キム・ヒジン(25)とパク・チョンア(23)がキム・ヨンギョンの攻撃力に代われると期待されている。両選手はリオ五輪予選でそれぞれ67点、57点を獲得し、キム・ヨンギョン(135点)を支えた。
キム・ヒジンの主な武器はサーブだ。水平に飛んできて最後にスーッと落ちる「フラットサーブ」は分かっていても止められない、という代名詞がお似合いなほど威力抜群だ。キム・ヒジンは12日、鎮川選手村で行われた女子バレーボール代表チームのイベント「メディアデー」で「決定的な瞬間に力強い一本のサーブが試合を左右する」と話した。
試合が始まれば、相手チームはキム・ヨンギョンにサーブを集中させる。攻撃に加わる余裕を与えないためだ。キム・ヨンギョンのレシーブの負担を減らすのもポイントだ。パク・チョンアが最近レシーブに集中しているのはこのためだ。女子バレーボール代表チームのイ・ジョンチョル監督が最近パク・チョンアに最も多くアドバイスしているのは「(レシーブの際は)両足の中心をつかめ」という言葉だ。パク・チョンアは「攻撃も攻撃だが、安定的なレシーブにより多くの神経を使っている」と話す。
センターのヤン・ヒョジン(27)もチームになくてはならない存在だ。7年連続でVリーグの「ブロック王」に輝いたヤン・ヒョジンは「相手のエースアタッカーたちのさまざまな攻撃パターンを徹底的に分析してマークする」と抱負を語る。ヤン・ヒョジンの鉄壁のブロックと奇襲性の高い速攻が決まれば、キム・ヨンギョンの攻撃に伴う負担も減少する。結局「セッターがものをいう」バレーボールでは、代表チームの姉御イ・ヒョヒ(36)=セッター=のトスが女子バレーボールを完成へと導くものと思われる。イ・ヒョヒは「予想しがたいボールコントロールで相手のブロックと守備を揺さぶる」と力強く話す。イ・ジョンチョル監督は「バレーボールは結局チームプレー」とした上で「キム・ヨンギョンをはじめとする全ての選手がどんな試合をするかに今回の五輪の行方が懸かっている」と話す。
同日のメディアデーでは「ジカ・ウイルス」についての話題も上がった。結婚4年目のナム・ジヨン(33)は「すでに電気蚊取り器を新調した」と笑った。キム・ヨンギョンは「最近予防接種の注射を4、5回受けた。(未婚なので)まだ妊娠計画がないため試合だけに集中する」と言葉に力を込めた。
リオ五輪の女子バレーボールには、12チームが参加する。韓国は日本、アルゼンチン、ブラジル、ロシア、カメルーンと共にA組に入った。韓国の初試合は8月6日の日本戦だ。
鎮川=イ・スンフン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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