北朝鮮がAN2の基地のある宣徳飛行場(咸鏡北道)近くの爆撃訓練場に、韓国軍の主力戦闘機であるF15Kや地対空ミサイル、レーダーなどの模型を設置し、実際に爆撃訓練を行ってきたことが21日までに分かった。北朝鮮はこれまでこの爆撃訓練場で特別な標的なしに爆撃訓練を行ってきたが、それが最近は韓国軍の主要な航空・ミサイル戦力を標的とする訓練を開始したようだ。韓国軍の内外では「北朝鮮は今後非核化交渉に応じる..
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北朝鮮がAN2の基地のある宣徳飛行場(咸鏡北道)近くの爆撃訓練場に、韓国軍の主力戦闘機であるF15Kや地対空ミサイル、レーダーなどの模型を設置し、実際に爆撃訓練を行ってきたことが21日までに分かった。北朝鮮はこれまでこの爆撃訓練場で特別な標的なしに爆撃訓練を行ってきたが、それが最近は韓国軍の主要な航空・ミサイル戦力を標的とする訓練を開始したようだ。韓国軍の内外では「北朝鮮は今後非核化交渉に応じると言いながら、後ろでは韓国に対するミサイルや通常兵器による挑発のレベルを大幅に強化している」などの指摘が相次いでいる。
ある韓国政府関係者は「北朝鮮が先日、AN2の基地のある咸鏡北道・宣徳飛行場近くの爆撃訓練場に、韓国空軍の基地を再現した目標物を設置した事実を確認した」「特に韓国軍の主力戦闘機であるF15Kの模型は実際のサイズにほぼ近い形で作られた」と明らかにした。これら一連の事実は衛星地図サービスのグーグル・アースでも確認できる。グーグル・アースによる今年2月の衛星写真を見ると、北朝鮮は宣徳飛行場の南東3キロ付近にある爆撃訓練場にF15Kや地対空ミサイル、野砲、レーダーなどの模型を設置していた。
とりわけ北朝鮮が設置したF15Kの模型は全長がおよそ18メートルで、実際の長さである19メートルとほぼ同じサイズだった。この訓練場には爆撃の痕跡とみられる穴の存在も数多く確認できる。訓練場ではF35Aステルス戦闘機とみられる航空機の形も補足された。ただし上記の韓国軍関係者は「爆撃訓練によって一部戦闘機の形が変わった可能性もある」「F35Aであるかどうかははっきりしない」と慎重な見方を示した。
北朝鮮はこの施設を非核化交渉が実際に行われていた昨年から設置していたという。上記の韓国軍関係者によると、2017年までの時点で宣徳爆撃訓練場にF15Kの模型などはなかったという。ある韓国軍幹部OBは「北朝鮮は対話局面にもかかわらず、韓国軍に向けた精密挑発能力を引き続き高めてきたのだろう」と指摘した。
韓国国防安保フォーラムのシン・ジョンウ事務局長は「以前は単純な円形のターゲットに向けて爆撃訓練を行っていたが、今は戦闘機の形を実際のサイズで再現し、それを正確に狙った爆撃訓練を行っている」「挑発がより精巧になりつつあると考えられる」などと指摘した。
北朝鮮はこれまでこのような方法で韓国に対し脅迫のメッセージを送ってきた。2016年には平壌郊外に韓国大統領府の模型を設置し、これを爆撃して完全に破壊した。昨年は平安北道寧辺郊外に韓国軍首脳部がある鶏竜台の建物と同じ構造物を設置した様子が衛星写真で補足された。上記の韓国軍関係者は「大統領府や鶏竜台の模型は韓国への警告メッセージという性格が強いが、宣徳飛行場周辺での空軍基地の再現は実戦用の可能性が高い」との見方を示した。あるいは清州基地に配備されたF35Aを狙った可能性も排除できない。
この地域がAN2の爆撃訓練場である点も脅威だ。AN2は低空での浸透用飛行機で、主に特殊部隊が敵に侵入する際に用いられる。速度は遅いが、特殊部隊の隊員を乗せて渓谷などを低空で飛び、韓国軍のレーダーを避けることができるとみられている。情報当局の関係者は「AN2は空対地ロケットや爆弾などを搭載して空から攻撃できる」と指摘した上で「韓国軍のレーダーを避けて空軍基地上空から爆撃すると同時に、10人ほどの特殊部隊兵士を落下させれば大きな脅威になるだろう」と説明した。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は過去にAN2に直接搭乗するなど、この飛行機に大きな関心を寄せてきた。北朝鮮は300機以上のAN2に改良を重ね、軍事パレードにも毎年登場させている。計器板もデジタル式に変更されたという。
ヤン・スンシク記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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