▲麗河NCC第2事業所全景/YNCC
韓国化学大手でハンファグループとDLグループの合弁会社である麗川NCC(全羅南道麗水市)で経営危機説が浮上している。今年3月に親会社であるハンファグループとDLグループから合計2000億ウォン(約213億円)の資金支援を受けてから半年もたたずに3000億ウォンの追加支援要請をしたからだ。資金支援が最終的に確定すれば、年初来で5000億ウォンの資金が投じられることになる。ハンファ・DL両社内部から..
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▲麗河NCC第2事業所全景/YNCC
韓国化学大手でハンファグループとDLグループの合弁会社である麗川NCC(全羅南道麗水市)で経営危機説が浮上している。今年3月に親会社であるハンファグループとDLグループから合計2000億ウォン(約213億円)の資金支援を受けてから半年もたたずに3000億ウォンの追加支援要請をしたからだ。資金支援が最終的に確定すれば、年初来で5000億ウォンの資金が投じられることになる。ハンファ・DL両社内部からは今後も追加で資金支援が必要になる可能性も排除できないとの反応が聞かれる。競争力を失ったまま、底の抜けたかめに水を注ぐような資金支援に頼って延命させているわけだ。麗川NCCには中国発の衝撃波になすすべもなくさらされる韓国経済の現状が圧縮されている。
【表】韓国財界を襲う石油化学不況
麗川NCCは2017年に営業利益が1兆ウォンを突破するなど、韓国の石油化学産業の勢いを代表する企業の一つだった。同年に韓国の輸出は当時としては過去最高の5737億ドルを記録したが、石油化学製品の輸出割合が8%に達するほど寄与度が高かった。それから8年で麗川NCCは経営危機説が流れ、緊急資金支援でも経営再建を見通せない状況になった。
韓国の財界上位10グループのうち、LGをはじめ6社が石油化学企業を中核系列会社としている。各社も非常事態だ。最近1~2年で一斉に経営再編に突入し、系列会社の売却などで現金確保に必死だ。各社は石油化学分野の不振が他の系列企業に波及することを恐れている。石油化学産業は数兆ウォンの投資が必要な超大規模設備と大量の原材料が必要であり、資金注入規模は大きくなる。
檀国大のキム・ヨンジン科学技術政策融合学科教授は「以前の産業不況の場合は2~3年後に好況が到来して回復したが、現在の危機は本質的に違う。韓国内部の競争力が低下し、根本的な限界に達した」と指摘した。
■消えた競争力
韓国石油化学業界の「ビッグ4」であるロッテケミカル、LG化学、ハンファソリューション、錦湖石油化学は2021年、合計で9兆ウォン以上の営業利益を出した。しかし、昨年は営業損失が8784億ウォンに達した。今年も上半期だけで既に5000億ウォンに迫る損失を記録し、通期での赤字は昨年をはるかに上回るとみられる。
専門家は韓国の石油化学産業が構造的に競争力を失ったと分析する。韓国企業の看板製品は各種プラスチック製品の材料であるエチレンだ。国内の石油精製メーカーや海外から買い入れたナフサをNCC(ナフサ分解設備)で加工して生産する。中国経済が急成長した時期、韓国製エチレンの40~50%が中国に輸出され、韓国企業は巨額の収益を上げた。
しかし、中国はこの3年間、自国のエチレン生産設備を大規模に拡大した。増設規模は韓国の年間生産量1500万トンをはるかに上回る2500万トンに達する。さらに、今年から2027年まで1500万トン規模の設備が加わる予定だ。
最大の輸出先だった中国が世界最大の生産国に変貌すると、韓国は危機に直面した。中東のエネルギー企業までもが潤沢な資本を背景に原油から直接エチレンを生産する技術への投資に乗り出し「低価格競争」の波が押し寄せた。中国製の価格は韓国製に比べ15~20%安く、中東製は韓国製の30%程度にすぎない。韓国は売れば売るほど赤字になる状況だ。
韓国企業は工場の稼働を縮小し、非主力事業を売却することで現金確保に奔走している。LG化学は今年6月と8月に水処理フィルター事業とエステティック事業部をそれぞれ売却し、約1兆6000億ウォンを確保した。ロッテグループも昨年末、ロッテケミカルの資金不足を解消するため、グループの象徴であるロッテワールドタワーを金融機関に担保として差し入れた。暁星は昨年末に特殊ガス事業部をグループ内の系列会社である暁星TNCに9200億ウォンで売却することに決めたが、これでは系列他社の負担が増すのではないかと懸念されている。
■地域経済低迷につながるか
石油化学産業は川下も含む雇用創出が約40万人に達する。大企業の系列会社1、2社が工場稼働を止めたり、経営が破綻したりすれば、下請け企業数十社が軒並み影響を受け、地域経済を直撃しかねない。麗水、大山、蔚山などの地域経済全般に衝撃を与える可能性があるのだ。既に税収も減少している。昨年、石油化学団地が集中する麗水、蔚山、瑞山の各税務署の国税収入は約13兆4000億ウォンだった。石油化学好況期の2021年(約20兆ウォン)と比べると約33%減少した。
韓国化学産業協会の依頼で石油化学事業再編コンサルティングを実施したボストンコンサルティンググループ(BCG)は昨年、「このままでは現在の石油化学企業の50%は廃業があり得る」と警告した。
専門家は今後は政府が状況打開に乗り出すべきだと呼びかける。産業研究院の権南勲(クォン・ナムフン)院長は「政府レベルで明確に構造調整方向のガイドラインを示すべきだ。さもないと不確実性が高まり、さらに困難な状況になるだろう」と話した。ソウル科学技術大の劉昇勲(ユ・スンフン)教授は「企業に任せて解決できる時期は既に過ぎており、アジア通貨危機の際に銀行主導で実施した構造調整のレベルで徹底して進めなければならない。このままでは地域経済が崩壊するだろう」と述べた。
イ・ヨングァン記者、イ・ジョング記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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