▲イラスト=UTOIMAGE
8月25日(現地時間)の韓米首脳会談後、韓米原子力協定で禁止・制限されている「使用済み核燃料再処理」と「ウラン濃縮」の解禁に向け外交安全保障政策担当者などから「進展があった」という趣旨の発言が連日相次いでいる。韓国外交部(省に相当)の趙顕(チョ・ヒョン)長官は8月28日にメディアの取材に応じ「再処理と濃縮を通じてわが国も(原発)燃料を国内で再処理する必要性を感じてきた」「今回その方向でまずは協議..
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8月25日(現地時間)の韓米首脳会談後、韓米原子力協定で禁止・制限されている「使用済み核燃料再処理」と「ウラン濃縮」の解禁に向け外交安全保障政策担当者などから「進展があった」という趣旨の発言が連日相次いでいる。韓国外交部(省に相当)の趙顕(チョ・ヒョン)長官は8月28日にメディアの取材に応じ「再処理と濃縮を通じてわが国も(原発)燃料を国内で再処理する必要性を感じてきた」「今回その方向でまずは協議を行うことにした」と述べた。韓国大統領府の魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安全保障室長も8月31日のインタビューで「ウラン濃縮と再処理の側面でわが国がより幅広い権限を持つ方向で協議を行っている」「できるだけ日本と同じレベルの権限を持ちたいと思う」との考えを示した。
【写真】新月城2号機原発の核燃料貯蔵プール
原子力発電で発生する使用済み核燃料の再処理を通じてプルトニウム239を抽出、あるいは使用済み核燃料に1%ほど含まれるウラン235を3-5%に濃縮すれば、再び原発の燃料として利用できる。しかしこのように得られたプルトニウムや20%以上の高濃縮ウランを使えば核兵器が製造できるため、再処理と濃縮は国際社会で制限されている。2015年に改正された韓米原子力協定も使用済み核燃料の再処理を禁じており、ウラン濃縮は20%未満の低濃度であっても米国の同意が必要とされている。ただし使用済み核燃料を保管する韓国国内26カ所の貯蔵施設は今後5年で飽和状態となるため、世界の原発5大強国の立場に見合った再処理と濃縮の権限が必要との声も力を得ている。
ある与党関係者によると、李在明(イ・ジェミョン)大統領が非公開の昼食会でこの問題をトランプ大統領に伝えたところ、米国側の雰囲気も前向きだったという。ただしそれが米国の方針転換につながるかどうかは不透明だ。当初今回の韓米首脳会談で韓米原子力協定改正に向けた交渉開始が宣言されるとの見方もあったが、会談後も関連する発表は行われていない。与党のある幹部は「ウラン濃縮や再処理の権限強化を認めさせるには改めて協議が必要だが、韓国よりも米国の方がその事情が非常に複雑だ」と語る。
トランプ政権の実力者の一人でもある米国防総省のコルビー次官は昨年朝鮮日報とのインタビューで「韓国も日本のようにウラン濃縮と再処理が可能な方向へと原子力協定改正に向けた協議は可能と思う」と述べた。1988年に発効した米日原子力協定では日本の使用済み核燃料再処理や20%未満のウラン濃縮を認めている。しかし米国政府は以前から核兵器拡散を防ぐため再処理と濃縮の権限を持つ国の制限を政策として進めてきた。トランプ大統領も韓米首脳会談の際、記者団の取材に「中国やロシアとの非核化に向けた話し合いを希望する」として「核兵器の拡散を放置できない」と発言した。
別の韓国政府高官OBは「米エネルギー省、国務省、国防総省などには今も韓国に対して再処理やウラン濃縮を認めない人物が多い」「韓米原子力協定の改正や韓米原子力ハイレベル委員会でウラン濃縮の合意を引き出すにはこの『非拡散スクール』の反対を克服せねばならない」と語る。それにはトランプ大統領が明確に指示するか、あるいは韓国に対する米国の戦略的判断見直しが必要になるだろう。そのため在韓米軍の役割調整など韓米間で今なお協議中の別の安全保障上の懸案がこの問題に影響するとの見方もある。魏聖洛室長も韓米原子力協定改正について「全てが連動するテーマであり、他の問題と関連付けて合意を引き出すことも考えられる」との見方を示している。
世界的に見ても核燃料再処理やウラン濃縮を行う米国、ロシア、フランス、中国、インドなどはどこも核兵器を保有している。米国が1980年代に非核保有国の日本に再処理と濃縮を認めたのは異例で、中国とロシアのけん制を念頭に置いたと考えられている。
韓米原子力ハイレベル委員会による協議の再スタートなど、実質的な議論を求める声も高まっている。この委員会は原子力分野における両国の懸案を議論するもので、2016年に最初の協議が行われたが、文在寅(ムン・ジェイン)政権による脱原発政策などにより18年以降は協議が中断している。
キム・ドンハ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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