▲順天の殺人事件で使われた「毒劇物マッコリ」。/NEWSIS
全羅南道順天市で2009年に起きた「青酸カリ入りマッコリ殺人事件」を巡り、犯人とされて汚名を着せられた男性とその娘が、再審で無罪を言い渡された。事件発生から16年目のことだ。
光州高裁は10月28日、殺人などの罪で起訴されていた男性(75)とその娘(41)の再審裁判で、無罪を言い渡した。14年前、裁判所は男性に無期懲役、娘には懲役20年を言い渡していた。裁判は「被告たちが犯行を犯したという合理的..
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▲順天の殺人事件で使われた「毒劇物マッコリ」。/NEWSIS
全羅南道順天市で2009年に起きた「青酸カリ入りマッコリ殺人事件」を巡り、犯人とされて汚名を着せられた男性とその娘が、再審で無罪を言い渡された。事件発生から16年目のことだ。
光州高裁は10月28日、殺人などの罪で起訴されていた男性(75)とその娘(41)の再審裁判で、無罪を言い渡した。14年前、裁判所は男性に無期懲役、娘には懲役20年を言い渡していた。裁判は「被告たちが犯行を犯したという合理的な証明が欠けている」と指摘した。
【写真】釈放されて順天刑務所から出てくるペク被告(写真左)
この事件は2009年7月、順天市黄田面にある集落で発生。希望勤労(政府が低所得者向けに公共の仕事を提供する事業)の現場で、マッコリを分け合って飲んでいた高齢女性4人のうち、被告男性の妻など2人が死亡、2人が重傷を負った。マッコリからは毒劇物の青酸カリが検出された。男性の妻は自宅の庭に置いてあったマッコリを持ち出し、高齢女性たちと分け合って飲んだことが分かった。警察が容疑者を割り出せないまま、事件は50日以上未解決のままとなった。
光州地検順天支庁は、男性と娘を容疑者として逮捕した。さらに「男性と娘が検察で犯行を自白した」「不適切な関係だった二人が、共謀して男性の妻を殺害した」と発表した。
死亡した女性の遺族は「検察が確実な物証もないのに、知能の低い娘を利用して犯行のストーリーをつくり上げ、つじつま合わせのような捜査をしている」と反発した。男性の娘は、同い年の子に比べて学習速度が遅い「境界知能」だという。
男性と娘は裁判で犯行を否認し「検察が高圧的な捜査をした」と主張した。
一審では、男性と娘の自白が信ぴょう性に欠けるとして、無罪を言い渡した。しかし二審を担当した光州高裁は2011年「自白した内容が具体的だ」として、男性と娘に重刑を言い渡した。
その後、服役していた男性と娘は2022年に光州高裁に再審を請求。昨年9月に大法院(最高裁判所に相当)が「検事が捜査権を乱用した」として再審開始決定を下し、男性と娘は再び法廷に立つことになった。
この日の再審で、裁判所は「被告人たちが検察の高圧的な捜査のせいで、犯行について虚偽の自白をした」と破断した。
裁判は「娘は当時、検察で供述拒否権について知らされず、捕縄で縛られた状態で自白した」として「このような自白は証拠能力がない」と指摘。「検事は娘が殺人を犯したと見なして誘導尋問をした」とも述べた。
また、男性と娘が不適切な関係だったという事実を立証するだけの客観的証拠や状況がないとも判断した。犯行に使われた青酸カリとマッコリを購入した経緯も明確ではないと指摘した。
男性と娘は無罪宣告の直後、報道陣の前で「私たちのような被害者が二度と現れないことを望む」と話した。男性は目を赤くして「悔しくて言葉が出てこない」と話した。男性と娘はこの事件で13年にわたり服役し、昨年1月に釈放された。
パク・チュンヨン弁護士は「これから捜査を再開し、真犯人を見つけなければならない」と述べた。
検察は「判決の内容を綿密に検討した上で、上告するかどうか決める」とコメントした。
光州市=チン・チャンイル記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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