▲戒厳軍が昨年12月4日未明、韓国国会本館正門前で、国会事務処職員や補佐陣などと対峙(たいじ)している様子。/写真=キム・ジホ記者
2024年12月3日の夜、当時の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「亡国の奈落へ落ちる自由大韓民国を守る」と称してテレビ生中継で非常戒厳を宣布した。わずか6時間で終わったその日の選択は、丸1年経過した今も悲劇として続いている。尹・前大統領本人は韓国の憲政史上初めて逮捕・勾留された現職大統領になり、配偶者の金建希(キム・ゴンヒ)夫人と共に、夫婦そろって勾留起訴されるという目に遭った。最終的に大統領..
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▲戒厳軍が昨年12月4日未明、韓国国会本館正門前で、国会事務処職員や補佐陣などと対峙(たいじ)している様子。/写真=キム・ジホ記者
2024年12月3日の夜、当時の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は「亡国の奈落へ落ちる自由大韓民国を守る」と称してテレビ生中継で非常戒厳を宣布した。わずか6時間で終わったその日の選択は、丸1年経過した今も悲劇として続いている。尹・前大統領本人は韓国の憲政史上初めて逮捕・勾留された現職大統領になり、配偶者の金建希(キム・ゴンヒ)夫人と共に、夫婦そろって勾留起訴されるという目に遭った。最終的に大統領職からは罷免され、政権は崩壊し、尹・前大統領の戒厳宣布に基づいて動いた首相から閣僚、軍と警察、検察の首脳部に至るまで、次々と裁判にかけられた。戒厳の余波は最近、尹・前大統領の所属政党だった保守系の「国民の力」が戒厳同調勢力として追及され、「政党を解散させるべき」という声まで出る状況に至っている。
【早わかり】12・3非常戒厳日誌
■尹錫悦大統領、現職初の逮捕・勾留
非常戒厳は韓国憲法上の要件を備えることができず、「内乱罪」として追及され始めた。尹・前大統領に対する内乱捜査は非常戒厳解除からわずか2日後の12月6日、まず検察で始まった。検察は軍検察と共に特別捜査本部を立ち上げ、すぐに尹・前大統領を「内乱首謀者」の被疑者として立件、捜査を進めた。続いて特捜本部は12月10日、当時の金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防相を勾留した。
このときから検察と警察、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が競って内乱罪の捜査に飛び込んだ。互いに尹・前大統領に対する捜査権を主張し、機関同士で対立を引き起こすこともあった。最終的に捜査権の移管を受けた公捜処は、現職大統領に対する逮捕状発布を受けて官邸を訪れ、逮捕を試みた。尹・前大統領が逮捕に応じなかったことから、警護処との間で物理的衝突も起きた。今年1月15日、2回目の試みの末に尹・前大統領は遂に逮捕された。1月19日に公捜処は尹・前大統領に内乱首謀者などの容疑を適用して勾留し、事件は検察に移され、1月26日に尹・前大統領は刑事裁判にかけられた。
今年3月、尹・前大統領の勾留取り消し請求が裁判所で受け入れられ、いったんは釈放された。起死回生かと思われたが、4月4日に尹・前大統領は憲法裁判所で大統領職からの罷免宣告を受けた。その後、政権が変わり、今年6月からはいわゆる3大特検が稼働した。尹・前大統領だけでなく前政権に対する捜査が本格化したのだ。
■尹・前大統領の部下は捜査と裁判で「焦土」化
検察から軍検察、今年6月に発足した内乱特検へと事件が移っていく中、戒厳に関連して裁判にかけられた人物は尹・前大統領を含め計25人に上る。
内乱特検は、非常戒厳宣布前の国務会議(閣議)に出席した前政権の閣僚から狙った。韓悳洙(ハン・ドクス)前首相を含め、李祥敏(イ・サンミン)前行政安全相、趙太庸(チョ・テヨン)前国家情報院長、金竜顕・前国防相などを内乱容疑で起訴した。朴性載(パク・ソンジェ)前法相は裁判所で2度にわたり勾留状請求が棄却されたが、間もなく補強捜査を経て在宅起訴となる見込みだ。韓・前首相は、非常戒厳の違法性を知りつつも大統領を制止せず、国務会議招集を建議した疑い(内乱首謀者ほう助)などで起訴され、一審判決の言い渡しが来年1月21日に迫っている。特検は、韓・前首相に対して懲役15年を求刑した。
特検は、非常戒厳宣布の名分をつくるために韓国軍の無人機を平壌に送り込んで安全保障上の危機状況をつくったとして、外患容疑(一般利敵)で尹・前大統領と金竜顕・前国防相などを起訴した。
軍指揮部も「焦土」と化した。戒厳司令官だった朴安洙(パク・アンス)前陸軍参謀総長、呂寅兄(ヨ・インヒョン)元防諜(ぼうちょう)司令官は内乱に加担した容疑で勾留起訴され、郭種根(クァク・チョングン)元特殊戦司令官、李鎮雨(イ・ジンウ)元首都防衛司令官などは軍事裁判所で裁判を受けている。軍事裁判所と一般の裁判所で裁判を受けている軍人出身者だけでも16人に上る。
■国民の力は政党解散の危機…終わらぬ捜査
12月14日に終了する内乱特検は、秋慶鎬(チュ・ギョンホ)国民の力議員、朴性載(パク・ソンジェ)前法相、黄教安(ファン・ギョアン)元首相などに対する最後の捜査を続けている。特に、戒厳当時与党の院内代表を務めていた秋議員は、戒厳解除票決を妨害した疑いが持たれている。現与党側はこれを口実に、国民の力全体を「内乱同調勢力」として追及し、解散論まで浮上している。
このところ与党側は「3大特検が終了した後、『第2次総合特検』までやるべき」と主張している。鄭清来(チョン・チョンレ)民主党代表は「3大特検で不十分だった部分は、1カ所から追っていって真実を明らかにすべきときが来た」と発言した。
パク・ヘヨン記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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