▲今年10月14日、閔中基特別検察官(特検)による調査を受けた後に命を絶った楊平郡庁の事務官の葬儀/聯合ニュース
閔中基(ミン・ジュンギ)特別検察官(特検)による取り調べを受けた後、自ら命を絶った京畿道楊平郡庁の公務員A氏(57)が、特検による懐柔と強圧で虚偽の供述を行うに至った経緯を遺書に詳しく記述していたことが分かった。遺書には「特検が脚本に従って追及し、誤った情報が調書に記録された」と苦しむ心境も綴られていた。
【写真】公務員が書き残した自筆のメモ
A氏の人権侵害事件の真相究明に乗り出した全国公務員労組..
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▲今年10月14日、閔中基特別検察官(特検)による調査を受けた後に命を絶った楊平郡庁の事務官の葬儀/聯合ニュース
閔中基(ミン・ジュンギ)特別検察官(特検)による取り調べを受けた後、自ら命を絶った京畿道楊平郡庁の公務員A氏(57)が、特検による懐柔と強圧で虚偽の供述を行うに至った経緯を遺書に詳しく記述していたことが分かった。遺書には「特検が脚本に従って追及し、誤った情報が調書に記録された」と苦しむ心境も綴られていた。
【写真】公務員が書き残した自筆のメモ
A氏の人権侵害事件の真相究明に乗り出した全国公務員労組によれば、A氏の遺書は日記と手紙の形式で書かれたノート21枚分だが、このうち9枚にはA氏が10月2日から4日にかけ、特検の調査過程で体験したこと、調査後に感じた苦しい心情が込められていた。
A氏は尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏一家が2011年から16年にかけ、「楊平公興地区」の開発事業を行った際、楊平郡から開発負担金免除などの優遇を受けた疑惑に関連して被疑者として立件され、10月2日午前10時から翌日午前1時15分まで特検で長時間の取り調べを受けた。A氏は開発負担金の業務担当者で、当時の郡守は国民の力の金善教(キム・ソンギョ)現国会議員だった。
A氏は遺書で特検から予め決められた答弁を強要されたと訴えた。ある捜査官には取り調べ室の外に連れ出され「金善教の指示だと言え」と言われ、「そんな事実はない」と答えると、捜査官はなれなれしい口調で「駄目だな」と言いながら、脅してきたという。
また、別の捜査官は特検法について説明し、「(捜査に)協力すれば、告発者は罪を減免するか問わない」と懐柔してきたという。労組関係者は「A氏は遺書に『何度も懐柔して強圧的な姿勢で接してきた』『別の人物が入ってきて協力しろと言われた』『早く抜け出したい。全てが嫌になった』などと書いた」と明かした。
A氏はまた、「(捜査官から)部下職員を助けるべきであって、責任を押し付ければよいのかといびられた」とし、「仕組まれた脚本にだまされているようだ」とも書いている。深夜の取り調べが始まってからは、捜査官が順番に詰め寄ってきたという。結局A氏は深夜に特検が望む内容の供述を行ったという。労組関係者はこれと関連し、「遺書には『捜査官はあらかじめ調書を作成してあり、それが捜査技法であるようだ』『調書の最後に供述した部分は全く事実ではない』という部分がある」と語った。
A氏が懐柔と強圧で虚偽の陳述をした自分自身を責める記述もあった。A氏は取り調べの直後、「シナリオ、脚本にやられたみたいだ」「情けなくもどかしい」といった言葉を残し、翌日には「間違って供述した事柄が頭から離れない」「死んだらこの苦痛から抜け出せるように思う」と苦しい心情を吐露した。
A氏は2021年から約1年6カ月にわたり、警察による取り調べを受けたが、23年5月に最終的に嫌疑なしとなった。その後、特検で取り調べが再開された際、A氏は軽い気持ちで弁護士なしで出頭したという。労組関係者は「A氏はすでに捜査と監査で特に問題がないという結論を出ており、弁護人もなしに特検に出頭したが、取り調べの過程で大きな圧力を感じたようだ。A氏の遺書には弁護人なしでは単独で3人の捜査官には耐えられないといった記述があった」と話した。
強圧捜査が論議を呼ぶと、特検は独自の監察調査を行い、「問題があると断定するのは困難だ」と結論づけた。これに関連し、国家人権委員会は今月1日、特検捜査官1人を職権乱用疑惑で告発し、残り3人の捜査官に対しては検察に捜査を委ねた。
イ・ミンギョン記者、チョ・ミンヒ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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