▲イラスト=UTOIMAGE
新年早々、新冷戦体制に二分された国際秩序の一方の陣営に大きな衝撃が走っている。世界の反米・反西欧陣営を率いる中国とロシアが最近になって国内経済と国民世論の悪化により政治的不安定を経験する中、これらの中南米地域最大の橋頭堡(ほ)であるベネズエラと中東最大の反米・反西欧勢力の拠点であるイランが、同時に体制崩壊の危機を迎えている。ベネズエラとイランはそれぞれ世界で1位と3位の膨大な石油埋蔵量を誇るなど..
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新年早々、新冷戦体制に二分された国際秩序の一方の陣営に大きな衝撃が走っている。世界の反米・反西欧陣営を率いる中国とロシアが最近になって国内経済と国民世論の悪化により政治的不安定を経験する中、これらの中南米地域最大の橋頭堡(ほ)であるベネズエラと中東最大の反米・反西欧勢力の拠点であるイランが、同時に体制崩壊の危機を迎えている。ベネズエラとイランはそれぞれ世界で1位と3位の膨大な石油埋蔵量を誇るなど潜在能力を有する国家であるにもかかわらず、国内外政策の誤りと独裁政治体制の腐敗により、没落の一途を自ら招いてきた。
ベネズエラの左派政権は、チャベス前大統領以降27年間、行き過ぎたポピュリズム政策と中南米左派国際連帯の構築に国庫を使い果たしたことで、国民経済の崩壊と民主化勢力の抵抗を受け、体制崩壊への危機が高まりを見せていた。マドゥロ大統領はチャベス前大統領の後継者として2013年に大統領に就任し、24年の3選への挑戦で惨敗が予想されていたものの、露骨な不正選挙により3回目の任期へと突入。国際社会の激しい非難を浴びていた。また、マドゥロ大統領は中南米の麻薬カルテルに深く関与したことで、米国国内への麻薬搬入が急増した元凶とされてきた。米国は20年のトランプ大統領の1期政権時にマドゥロ大統領を麻薬テロ疑惑で起訴した上、昨年は5000万ドル(約79億円)の懸賞金まで懸け、新年早々に軍事作戦を通じてマドゥロ大統領を逮捕。強制送還することで、米国法廷に立たせた。
一方、1979年のイスラム革命で政権を握って以来47年間にわたる絶対権力を振るってきたイランの新政体制は、リビアやイラク、シリアなど伝統的な反米・親ロシア勢力の盟主が相次いで没落していった中東地域において、レバノンやシリア、イラク、ガザ地区での好戦的武装勢力への支援に唯一総力を傾けてきた。イスラエルの滅亡を国家的目標とし、反イスラエル戦線の先頭に立って核武装も執拗(しつよう)に追求した。これによる財政破綻と国際社会による経済制裁により国民生活は荒廃し、この余波を受けハメネイ師による「36年間の鉄拳統治と腐敗」に抵抗するデモが全国的に広がっている。保安軍の発砲でデモ隊1万人余りが死亡したという見方にもかかわらず、デモはさらに拡大の一途をたどっており、「パーレビ王朝復古」を主張する声が公然と取り上げられている状況だ。
トランプ大統領は選挙運動当時から米国の海外への軍事介入を縮小化する路線を強力に進めてきたものの、昨年イランの核施設に対する戦略爆撃を断行した上、主権国家の元首であるマドゥロ大統領の逮捕のための軍事行動に乗り出すなど、過去のどの政府にも勝るとも劣らない断固とした姿勢で海外への軍事介入を繰り広げている。こうしたトランプ政権による対外政策を見ると、現在の米国は同盟国のための大規模軍事介入は最小化しているものの、米国の中心的利益を保護するための事案別軍事介入はより積極的に行う方向で政策的進化を遂げる様相を呈している。これはロシアが過去の旧ソ連時代以降、取ってきた対外軍事政策と類似している点で、今日の中国が追求する軍事的膨張政策ともつながりを持つ強大国の赤裸々な自国優先主義の表出と解釈されている。
このように中国とロシアの盟邦であり、最大の地域拠点であるベネズエラとイランで起きている体制上の危機は、汎(はん)世界的な反西欧連帯に亀裂をもたらし、新冷戦体制の勢力バランスに深刻な不均衡をもたらす恐れが高い。にもかかわらず、これら国家の支援国である中国とロシアは、国内外の案件に圧倒され、軍事支援などの実質的な援助を行える状況ではない。これら国家は国連安保理で米国の「侵略行為」を糾弾することで義理を誇示できるだろうが、ロシアによるウクライナ侵攻、中国による南シナ海での武力強奪や、チベットやベトナム侵攻に向けた戦力増強など、さまざまな侵略の歴史を持つこれら国家による非難が、どれほど説得力を発揮するかは疑問視されるところだ。
ベネズエラとイランで展開されているこうした状況は、東アジアや韓半島の情勢にも少なからず影響を及ぼしている。何よりも、新冷戦の全般的な勢力バランスが米国に有利な方向へと傾いている状況で、中国とロシアがそれぞれ台湾と欧州で米国と西側に対する新たな軍事的挑戦を敢行することは容易ではなさそうだ。もし、ベネズエラとイランの体制崩壊が現実化し、親欧米政権が発足するとすれば、対米覇権競争の戦略的橋頭堡の喪失と安価な石油供給網の崩壊により、中国の外交的孤立、経済的孤立は一層加速されるものと思われる。そして、こうした状況では、その同盟国である北朝鮮も、韓国や米国に対して無謀な軍事挑発を起こすことは容易でないだろう。
イ・ヨンジュン世宗研究所理事長・元外交部北核大使
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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