米国のトランプ大統領は同盟各国に対しホルムズ海峡での軍事作戦参加を求め、いわゆる「ホルムズ連合構想」を打ち出したが、この構想はわずか3日で事実上挫折した。3月14日にSNS(交流サイト)を通じて英国、フランス、中国、日本、韓国を名指しし「誰が支援するか記憶する」などと脅迫のように海軍艦艇の派遣を要求したが、同盟国は全て距離を置いた。最終的にトランプ大統領は17日「NATO(北大西洋条約機構)には..
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米国のトランプ大統領は同盟各国に対しホルムズ海峡での軍事作戦参加を求め、いわゆる「ホルムズ連合構想」を打ち出したが、この構想はわずか3日で事実上挫折した。3月14日にSNS(交流サイト)を通じて英国、フランス、中国、日本、韓国を名指しし「誰が支援するか記憶する」などと脅迫のように海軍艦艇の派遣を要求したが、同盟国は全て距離を置いた。最終的にトランプ大統領は17日「NATO(北大西洋条約機構)には非常に失望した」として同盟国の海軍艦艇拒否を既成事実とした。そのため今回の戦闘については「トランプ政権の一方的な『米国優先主義』がもたらした結果」との指摘も出ている。
【写真】「自分で火を付けといて一緒に消そうと言ってきた」 トランプ大統領のホルムズ海峡支援要請巡り中国紙が批判
■「自分たちの戦争ではない」…距離を置く同盟各国
米国からの艦艇派遣要請に同盟各国は異例とも言えるほど距離を置いている。フランスのマクロン大統領は「フランスはこの戦争の当事者ではない。今の状況ではホルムズ作戦に参加はしない」と明言し、ドイツのメルケル首相は「これはNATOの戦争ではない。米国とイスラエルは戦闘を始める前にわれわれと協議せず、イランに関して共同で決めた内容は全くなかった。そのためドイツは軍事面でいかなる関与をするかという質問自体が成立しない。ドイツは関与しないだろう」との考えを示した。米国と最も緊密な関係にある英国もスターマー首相自ら「英国は戦争が拡大しても巻き込まれないだろう。これはNATOの任務ではない」と距離を置いた。
人口70万人の小国ルクセンブルクのベッテル副首相兼外相は米国の要求について「脅迫だ」と批判し「誰かが戦争を起こして周囲に支援を求めるという珍しい事態が起こっている。(プーチンが)ポップコーンを食べながら金持ちになったのは、ホワイトハウスにいるあの人のおかげだ」と批判した。イタリアのメローニ首相も「(軍の派遣は)介入をさらに拡大するものだ」として現時点では保留する考えを示した。
米国と隣接するカナダはアナンド外相が「軍事作戦開始前に通知を受けていないので参加する考えもない」と明言した。軍の派遣が予想されるオーストラリアも「要請を受けたことも、貢献もしていない」として一蹴した。中国は「各国は軍事行動を中断すべきだ」として反対の立場を示し、韓国と日本は憲法や法的手続きなどを理由に慎重な態度を崩していない。
■事前協議もなかった戦争…「アメリカ・ファースト」への不満蓄積
一部では同盟各国が米国の要請に応じない背景として「過去1年にわたりトランプ政権が同盟各国に対して一方的に圧力を加え続けたのが大きい」との見方もある。
トランプ大統領は昨年の就任直後から一貫して「欧州は滅びつつある」としてNATOに対し「安全保障に貢献していない」と不満を示し、同盟国であるデンマークの自治領グリーンランドへの軍事作戦をちらつかせるなど、外交面で突発的な言動を繰り返した。これらが蓄積し大西洋同盟からの信頼が傷ついたとの見方が根強く語られている。米CNNテレビは「デンマークは優秀な海軍力に加えミサイルやドローン対策の経験もあるが、トランプ大統領とはグリーンランドを巡って対立している」「イランでの戦争に欧州の参加を要請するに当たりこの状況はプラスにならない。しかもこの戦争に欧州は関与もしていない」との分析記事を掲載した。
トランプ大統領は隣接するカナダに対して普段から「米国の51番目の州にしたい」と発言し、またカーニー首相に対しても「米国の51番目の州知事」と侮辱してきた。さらに中国との近い関係を口実に100%関税をちらつかせるなど経済面・外交面で圧力を加えてきた。これらが今回カナダが距離を置く形で跳ね返ってきたとも言われている。
米国による「関税圧力」も緊張の背景にあるとみられる。米連邦最高裁は先月「相互関税は無効」との判決を下したが、それでもトランプ大統領は欧州連合(EU)、中国、日本、韓国などに対して通商法301条に基づく調査を通告した。「相手国が不公正な貿易を行っている」として事実上、答えが決まった調査手続きを経て関税を最高裁判決以前の水準に再び戻すということだ。しかし皮肉にもトランプ大統領が今回軍の派遣を求めた国々の多くが301条による調査対象に含まれている。
米国の複数のメディアは「トランプ大統領はイスラエルだけと協力し、同盟国とは事前協議なしにイラン攻撃を開始した。その後ホルムズ海峡封鎖で戦闘が膠着(こうちゃく)すると、戦争の費用やリスクを後になって同盟国に押し付けようとしている。そのため同盟国の反発を引き起こした」と分析している。英国についてみると、スターマー首相は「空母を派遣する」とすでに提案していたが、トランプ大統領は「米国はもう勝った。勝った後に空母は必要ない」と豪語した。ところが戦争が長期化の兆しを見せたことで「英国は掃海艇も派遣しない」と矛盾した態度を示し始めた。
英国のキングス・カレッジ・ロンドンのアンドレアス・クリッグ教授は米ウォールストリート・ジャーナルの取材に「トランプ大統領は米国のパワーを武器に同盟国を自分の思い通り動かそうとしたが、この手法を乱用したため今世界は可能な限り米国との関係を見直そうとしている」と指摘した。英国のラミー副首相の元秘書ベン・ジュダ氏はワシントン・ポストの取材に「欧州における安全保障の全体的な構造を構築してきた超大国が今深刻な形で気まぐれになり、感情的で予測不可能になった」「戦後の西側同盟体制全体で米国は間違いなくそのリーダーシップを失いつつある」と警告した。
ワシントン=朴国熙(パク・ククヒ)特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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