▲イラスト=UTOIMAGE
ここまで来ると、コメディではなく社会告発だ。コメディアンのイ・スジが過酷な労働を強いられる幼稚園教諭を演じ、韓国中が騒然となった。
YouTubeチャンネル「ホットイシュージ(HOT ISSUE JI)」で公開10日で500万回再生を突破した16分間の動画『極限職業-幼稚園教師イ・ミンジさんの終わらない24時間』は、過酷な保育労働や保護者からの苦情・横暴など、保育現場のありのままの姿を露わにした..
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▲イラスト=UTOIMAGE
ここまで来ると、コメディではなく社会告発だ。コメディアンのイ・スジが過酷な労働を強いられる幼稚園教諭を演じ、韓国中が騒然となった。
YouTubeチャンネル「ホットイシュージ(HOT ISSUE JI)」で公開10日で500万回再生を突破した16分間の動画『極限職業-幼稚園教師イ・ミンジさんの終わらない24時間』は、過酷な保育労働や保護者からの苦情・横暴など、保育現場のありのままの姿を露わにした。
手首サポーターを装着した「3年目のイ・ミンジ先生」は、「子どもたちと長く一緒にいられて嬉しいです」「あら、お母様、そうだったんですか」と、明るい声と笑顔、尽きることのない共感と前向きな姿勢で武装したプロだ。
しかし「うちの子のお尻は成分の良いウェットティッシュで拭いてほしい」「MBTIに合わせてクラスを変えてほしい」「人生最高のショットを残せるようiPhoneで撮ってほしい」「週末狎鴎亭ロデオ通りに行ったのはなぜだ」と詰め寄られ、私生活まで干渉してくる保護者たちに対応するうちに声は枯れ、耳からは血が流れる。
コメント欄は社会的な公論の場となった。元・現職の教師や家族などが数万件のコメントで「動画はマイルドな方だ。現実はもっとひどい」「見ているとフラッシュバックで胸がむかついた」と憤りをぶちまけた。特に動画の中で、ある母親が「子供の父親がすごく怒っている」と言い、力のない女性教師を脅す場面に怒りが爆発した。
人々は「イ・スジの動画は本当なのか」と驚き、「キッズノート(保育園の連絡アプリ)の写真投稿を禁止しよう」「問題のある親を退園させろ」「親の機嫌を取るよう強要する園長たちも問題だ」という世論が沸き起こっている。最近、富川の幼稚園教諭がインフルエンザにかかっても休めずに働き、亡くなった事件と重なり、全国の幼稚園の運営実態と教師の待遇が議論の的となっている。
これは、イ・スジが昨年『大峙洞ジェイミーママ』の演技で、奇妙な幼児の私教育ブームを痛烈に批判したことと似ている。彼女は高価なブランド品を身にまとい、穏やかな口調で、見栄えの良い子供を作ることに血眼になっている人々を風刺した。
当時、イ・スジの影響で揶揄されたモンクレールのダウンジャケットが中古市場にあふれ、「一日中子供の塾への送迎をしている」という女優に怒りの矛先が向けられる一方、英語塾の入試である「4歳・7歳試験」を禁止する立法まで出た。
このように、身近にいそうなキャラクターを細部まで模倣し、不条理な現実を告発する「ハイパーリアリズム(超写実主義)コメディ」は、最近のコメディの主流となっている。「そうだ、あの人どこかで見たことある」という大衆の共感を呼び起こしやすいからだ。
中源大学のキム・ホンシク特任教授は「本来、ギャグは物まねから始まるものだが、かつてはその対象が高齢者や子供、方言を話す地方の人々のように漠然と定型化されていたのに対し、イ・スジは触れると敏感に反応する現象を正面から取り上げ、社会的な覚醒を促している」と述べた。
当初、イ・スジが物まねで有名になったのは朝鮮族のボイスフィッシング団「リン・ジャオミン」であり、嘲笑してもよいという明確な合意があるキャラクターだった。
続いて彼女は、虚栄と偽善が混ざり合い、どこか歪んだ韓国の女性像を、まるで人間コピー機のように描き出した。同世代の女性を気遣うふりをして詐欺を働く「共同購入インフルエンサー『シュブリママ』」、可愛くて弱々しいふりをする自己意識過剰な「エゲン女トゥジ」、眠る父の横でモッパン(食べ放題)を楽しみながら権力を振るう「北朝鮮BJキム・ドゥエ」、慈愛深そうだが権威主義に染まった老婦人「ファン・ジョンジャ女史」などだ。
この中で特に「大峙洞のジェイミーマム」と「イ・ミンジ教師」に世論が反応し、社会的イシューとして爆発した。それだけ富裕層の主婦たちが主導する私教育ブームやママカフェの集団行動に対する反感が大きいことの証左だ。現在、ネット上では「ママ虫どもを殺したい」「子供を産んだのが勲章か」 「韓国の女性がこうだから離婚率が高いのだ」といった非難と、「母親たちが手っ取り早い攻撃対象になってしまった」という反撃が飛び交っている。
女性界でもイ・スジを取り巻くシンドロームをめぐって議論が絶えない。作家のオ・スギョン氏は「風刺は弱者の武器である時に意味がある。特定の階層や性別を滑稽に描き、偏見を強化する手段となる瞬間、無実の被害者が生まれる可能性がある」と述べた。
子育ての責任を母親が背負う核家族文化、就職難が招いた私教育ブーム、少子化の中で子供に対して敏感にならざるを得ない育児環境、保育業界の雇用不安や搾取の慣行などを放置したまま、「ママ虫嫌悪」に帰結してはならないということだ。
一方、作家のイ・ジョンオク氏は「男女ともに過ちはあるものだが、とりわけ女性だけが嘲笑や批判を受けてはならないとするなら、それは『裸の王様社会』という話だ」と述べた。
鄭始幸(チョン・シヘン)記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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