【社説】ローンスターから巨額を巻き上げた市民運動家の末路

 米国系投資ファンド、ローンスターによる韓国外換銀行の買収・売却を大々的に批判していた市民団体「投機資本監視センター」のチャン・ファシク共同代表が、柳会源(ユ・フェウォン)元ローンスターコリア代表から8億ウォン(現在のレートで約8600万円)を受け取ったとして、5日に逮捕状を請求された。

 チャン容疑者は、柳元代表がローンスターの外換銀行買収に関連し外換カードの株価を操作した罪に問われ、裁判を受けていた2011年9月ごろ、ローンスターの件をこれ以上問題視せず、裁判所に柳元代表の善処を求める嘆願書を出すことを条件に、柳元代表側からカネを受け取ったという。

 チャン容疑者は11年6月、大法院(日本の最高裁判所に相当)が柳元代表に対する二審の無罪判決を破棄し、審理を差し戻したとき、被害者として証言し「株価操作犯の柳氏を法廷拘束し、法定最高刑である無期懲役としてほしい」と述べた。だが、柳元代表から金銭を受け取ると態度を変え「ローンスターの問題を提起したのは柳氏個人に処罰を受けさせるためではなかった」として裁判所に善処を求める嘆願書を提出した。柳元代表は、チャン容疑者が「カネをくれれば善処を要求するが、くれなければ処罰を求める集会を続ける」と言って先に金銭を要求してきたと主張している。本当だとすれば、まるで恐喝だ。

 チャン容疑者は外換カードの元労働組合委員長だ。2004年、外国の投機資本を監視するとして投機資本監視センターの設立に加わった。その後、ローンスターによる外換銀行の株式取得承認の無効を求める訴訟を起こしたほか、外換銀行の売却に関与した官僚ら20人を告発して検察の捜査を促した。ローンスターが外換銀行を韓国の銀行に売却しようとしたときには、ローンスターを「違法な投機集団」と批判し、国内銀行による外換銀行の買収に反対する運動を展開した。ローンスターを批判・監視する市民運動をするふりをしながら、裏ではローンスターから巨額のカネを得ていたわけだ。

 チャン容疑者は市民運動の経歴を足掛かりに、昨年1月には安哲秀(アン・チョルス)国会議員の新党立ち上げ準備組織だった新政治推進委員会で専門家出身委員を務めた。また、投機資本監視センター設立前の1999年には革新系の民主労働党の設立発起人に加わり、2001年には同党の国会議員候補として再・補欠選挙に出馬した。市民団体の代表として政界入りを狙いながら、一方では市民団体のパワーを利用してカネをゆすり取っていたことになる。こんな市民運動家がいるせいで、市民団体の活動を批判的に見る国民が増えてしまうのだ。

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