中国の歴代の指導者の中で最も強い権力を持っているとして「始皇帝」ならぬ「習皇帝」と呼ばれている習近国家主席だが、こうした状況にはお手上げのようだ。習主席は「中国がW杯に出ること、W杯を招致すること、W杯で優勝することが3つの願い」と語った。「球迷(サッカーの熱狂的なサポーター)」を自任する習主席は今年2月、国を挙げての「サッカー改革総合策」を打ち出した。中国政府は「中華民族の偉大な復興という中国の夢と体育大国の夢は相通じる」と述べた。中国ではサッカーを小中学校などで必須科目に指定しており、2017年までに「サッカー専門学校」を2万校建てる計画だ。さらに、「サッカー選手10万人養成」も推進している。今後10年以内に数百のサッカー専用グラウンドを作る方針だとのことだ。
だが、中国代表チームの現実は真っ暗だ。「人口1億人あたりに代表選手を1人ずつ選んでもベスト11がそろってまだ余る」はずなのに、中国はなぜサッカーが強くならないのだろうか。
中国プロサッカーチーム広州恒大の監督を務めた李章洙(イ・ジャンス)氏は「中国が豊かになって自国のプロリーグに大手企業が資金を投入、代表クラスの選手の年俸は10億ウォン(約1億円)を超えた。高給取りの選手が現状に満足してしまうムードが広がっている」と話す。ヨーロッパなどの大舞台に挑戦する理由がないということだ。プレミアリーグでプレーする中国出身の選手は現在1人もいない。その一方で、中国プロリーグの主なポジションは外国人選手が占めている。