さらに大きな問題は将来だ。世界では主要産業が転換期を迎えている。技術の発展でいつ雇用がなくなるか分からない時代を迎えた。工場では機械が人間に次々と取って代わり、良質な雇用は徐々に減っている。アマゾンが実験を進める無人コンビニエンスストア「アマゾン・ゴー」ではレジ係が不要で、IBMが開発した人工知能(AI)の「ワトソン」は全世界のコールセンター職員の雇用を奪うことになるだろう。デジタルカメラが大衆化したことで、現像・プリントといった職種が消え去って久しい。自動走行車は近い将来、タクシー運転手やトラック運転手、自動車保険会社の従業員に転職を迫るだろう。清掃ロボットの性能が向上すれば、給料を払って清掃員を雇うこと自体がなくなる。
ゆえに正規雇用か非正規雇用かにこだわるよりも、勤労者がリストラされた場合に社会保障制度で生計をある程度保護し、再就職できるように職業訓練まで支援する社会構造を構築すべきだ。そうした「機能的柔軟性」を活用し、斜陽産業の従事者を成長産業へと再配置しなければならない。日本、スペイン、スウェーデン、フィンランドなどが既に取り組みを始めている。非正規雇用の問題は長い目でゆっくりと取り組むべきだ。当面の甘い約束が最終的には毒になるという事例は南米ベネズエラが実証しているではないか。