【コラム】タイムマシンでやって来た北朝鮮応援団

 競技の最中の休憩時間にキス・タイムがあった。競技場の中央画面に映し出された若いカップルはもちろんのこと、中年男女、おじいさん、おばあさんまでがキスを交わし合ったことで、競技場内は笑いと拍手であふれ返った。北朝鮮の応援団はどうしているのか気になって目を向けてみたところ、ほとんどの人たちがそっぽを向いている中、何人かは画面に映し出された様子を横目で見詰めていた。タイムマシンに乗って過去からやって来た人々が周りの環境に溶け込めないまま孤立していた。その競技では、韓国人選手が金メダルを獲得して終わった。

 競技後に問題が発生した。一度に1万人前後の人々が駆け付けたため、帰りのシャトルバスが満員になった。筆者は50分間並んだ後、結局歩くことにした。その50分間、無秩序な様子も、大声を張り上げる様子も、悪口を言う様子も見受けられなかった。不満の声は上がったものの、皆が寒い夜を我慢して耐えながら待っていた。まだ多くの問題を抱えているが、韓国は先進社会に向けて黙々と一歩ずつ階段を上っていた。

 韓国銀行の推定値によると、北朝鮮のGDP(国内総生産)は、大田や光州とほぼ同じという。実際には、大田の半分にも至らないだろう。韓国の小さな地方都市にもならない暴政集団が、爆発物を手に、お前も死んで俺も死ぬと大声で叫んでいる。しかし、孤立して50年前の世界で暮らしているあの集団だ。これが永遠に続くわけがない。30年後に統一された韓国の北側の地域で3回目の五輪が開催され、この北朝鮮の応援団たちがその競技場内に座り、30年前の江陵オリンピックパークに思いをはせては、娘と共に笑みを浮かべることができるのを願ってやまない。こうした世界は、じっとしていてはやって来ない。われわれがだまされずに決断し、行動しなければならない。

楊相勲(ヤン・サンフン)論説主幹
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