サムスン物産合併、米ヘッジファンドが韓国政府相手取り損賠訴訟

 米系ヘッジファンドのメイソン・キャピタル・マネジメントが、2015年のサムスン物産と第一毛織の合併に国民年金が不当に介入したことで損害を受けたとして、韓国政府を相手取り、投資家・国家間訴訟(ISD)を起こした。サムスン物産の合併に関連し、外国の投資家がISDを起こしたのは、今年4月の米系ヘッジファンド、エリオット・マネジメントに続き2例目だ。ISDは投資家が相手国の不当な制度などで被害を受けた際、政府を相手取り、国際訴訟を起こし、損害賠償を受けるための制度だ。

 韓国法務部(法務省)によると、メイソンはサムスン物産と第一毛織の合併を巡る韓国政府の措置で2億ドル(224億円)以上の損害が出たとする仲裁申請書を韓国政府に提出した。仲裁申請書の提出は本格的にISDのプロセスに入ることを意味する手続きだ。これに先立ち、メイソンは今年6月、同様の内容の仲裁意向書を韓国政府に送っている。仲裁意向書は正式な提訴前に相手国の政府に仲裁意思があるかどうかを確認する手続きだ。仲裁意向書の送達から90日が経過すれば、ISDの提訴が可能となる。仲裁意向書でメイソンは損害額について、少なくとも1億7500万ドルだと主張したが、本訴訟では推定損害額を250億ウォン余り上乗せした。

 サムスン物産と第一毛織は2015年7月、サムスン物産1株に対し、第一毛織0.35株の比率で合併した。当時サムスン物産の株式2.2%を保有していたメイソンは、同じく7.12%を保有していたエリオットと共に合併に反対した。メイソンとエリオットはいずれもサムスン物産合併を巡る特別検事の捜査結果と裁判所の判決を損害賠償の根拠としている。サムスン物産合併に違法に介入したとして起訴された文亨杓(ムン・ヒョンピョ)元保健福祉部長官とサムスン幹部に既に有罪判決が下されており、損害賠償責任があるとの主張だ。

 メイソンは同日、仲裁申請書で英国籍の元判事、エリザベス・グロスター氏を仲裁人に選定したことを明らかにした。仲裁裁判はメイソン、韓国政府、議長が指名した仲裁人の3人で構成される。韓国政府はまだ仲裁人を選定していない。

尹柱憲(ユン・ジュホン)記者
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