500人の脱北者を救った「中国のシンドラー」、韓国で難民認定

14年にわたり脱北者の東南アジア行きを支援したブローカーが難民認定
中国公安に追われラオスから済州へ
「地獄からの脱出に私の貢献が認められうれしい」

 脱北にあたり現地の事情に詳しいブローカーはいわば必要悪だ。塗さんも脱北者を国境へ、さらにそこから先へと案内する条件として韓国国内の人権団体や教会などから現金を受け取っていた。ラオスに向かう際には脱北者1人当たり500ドル(約5万6000円)、タイの場合は1000ドル(約11万円)を受け取ったという。塗さんによると、中国国内の安全な場所から国境までの交通費、そして国境で警備員を買収するための費用に使ったので手元に金はほとんど残らなかったが、その残った金で家族を養い、家賃の足しにもしていたという。

 脱北者支援事業を行ってきたある教会の牧師は「タイの現地で脱北女性たちが売春業者に売り飛ばされそうになったことがあるが、(塗さんが)最後まで追跡し救出したこともある」と語る。脱北ブローカーの中には、人権団体に黙って脱北者たちから別に謝礼を受け取るケースもあるが、塗さんはそんなことはしなかったという。塗さんについてよく知る別の関係者は「最初は本人も金目当てで脱北を支援していたが、自分も苦労するうちに使命感を持つようになったようだ」とコメントした。

 塗さんは2008年8月、脱北者の越境を支援した容疑で中国公安に逮捕された。塗さんが韓国の裁判所に提出した書類によると、塗さんは中国の裁判所で懲役3年執行猶予5年の判決を受けた。しかしその後も警察の厳しい監視や追跡が続いたため、最終的には塗さんも自ら案内した脱北者たちと同じく東南アジアに逃れ、12年にラオス国籍を取得した。

ウォン・スンワン記者 , イ・ボルチャン記者 , パク・ヘス記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • 500人の脱北者を救った「中国のシンドラー」、韓国で難民認定

right

あわせて読みたい