【コラム】大韓民国の歴史を台無しにしているのは誰か

 これは何も大統領の部下に限ったことではない。文大統領は、海軍士官学校の卒業式に参加し「元日本軍でない人々が作った海軍の歴史が大韓民国国軍の歴史」と発言した。朝鮮戦争の際に最も多くの命をささげた陸軍、そして空軍を大韓民国の垣根の外に追い出してしまったのだ。

 国家保勲処(日本の省庁に相当)は、朝鮮戦争当時に北朝鮮で長官を務め、「祖国解放戦争勲章」を受賞したキム・ウォンボンに大韓民国勲章を授与する作業を本格化している。キム・ウォンボンが登場する映画を見た文大統領が「独立有功者勲章を差し上げたい」という書き込みをしたのがきっかけだ。文大統領の真意を全て推し量るMBC放送は、200億ウォン(約19億円)を投じてキム・ウォンボンのドラマを作成し、来月4日から放送し始めるほか、KBSも今年の光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)にキム・ウォンボンを主人公とする大河ドラマを制作するという。やがては国立墓地にキム・ウォンボンの墓が登場するかもしれない。

 文大統領は就任の辞で「統合」「共存」「パートナー(同伴者)」について言及した。ちょうど2年が過ぎた今、その言葉は影さえも見いだすことができなくなっている。「憎悪」「復讐(ふくしゅう)」「敵意」という単語が全国を飲み込んでいる。憎悪は子を生み、復讐は自分を先に崩壊へと追い込み、敵意は自分の心の中に毒をまき散らす。これでも押し寄せる津波の前に国家が無事であると言い切れるのか。

姜天錫(カン・チョンソク)論説顧問

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