さらに、NAND型フラッシュメモリー市場に新規参入を狙う中国の新興メーカーに対する警告の意味も大きいとみられる。供給過剰となれば、数十兆ウォンを投資し、量産を開始したばかりの中国メーカーが最も深刻な打撃を受けるからだ。
■相次ぐ兆ウォン単位の投資
サムスンが平沢第2生産ラインにNAND型フラッシュメモリーのラインまで設置すれば、サムスン平沢キャンパスは世界最大・最先端の半導体複合生産基地になる見通しだ。今後平沢第2生産ラインでは最先端のEUV(極端紫外線)工程によるDRAM生産、NAND型フラッシュメモリーの生産、超微細プロセスによる半導体ファウンドリー事業が同時多発的に推進されることになる。単一拠点でDRAM、NAND型フラッシュメモリーの生産、ファウンドリー事業を全て行うのは異例のことだ。
財界は「不況時に投資しろ」というサムスン電子の戦略が込められているとみている。サムスンは危機であればあるほど、市場を綿密に分析し、勝算があると判断すれば、思い切った先行投資を行ってきた。2000年代後半、日本のエルピーダ、ドイツのキマンダなどと展開したメモリー半導体の生存競争でもそうした戦略で勝利を収め、液晶パネル市場の争奪戦でも同様の戦略を用いた。また、李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長が相次ぐ検察捜査、米中対立の激化などで内外の不確実性が高まる中でも投資に関する約束は必ず守るという意思を示したと受け止められている。