【コラム】柳時敏氏の奇妙な「自由論」の読み方

「光化門の集会遮断は正当」…J.S.ミル著「自由論」を引用した柳時敏氏
権力制限主張は無視し、政権の自由だけ擁護か

 柳時敏氏の主張とは違い、今、韓国社会で提起されているさまざまな問題は、個人の自由放任ではなく、現政権の類例のない恣意(しい)的な権力行使に端を発している。新型コロナウイルスの一日の新規感染者が50人台の時に行われた集会には「殺人者」と暴言を吐き、開天節(10月3日)集会では封鎖までした政府が、一日200人の感染者が出ている時期の集会には、気前よく「自粛」だけを呼びかけた。月城原発早期閉鎖の過程で経済性に関する数値が操作されたという疑惑が浮上すると、「原発閉鎖は統治行為」という言葉で法治を否定した。李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事の携帯電話のパスワードは保護する一方、韓東勲(ハン・ドンフン)検事長のパスワードは法律を作ってまで明らかにすると乗り出すことが、現政権にとっては自由なのかもしれない。しかし、やられる国民にとっては、暴政に過ぎない。このすべての「政権のほしいままにする」行動の背後には、激しい「テッケムン(頭が割れても文在寅〈ムン・ジェイン〉=熱烈な文在寅派)」がいる。柳時敏氏は、自由の制約の必要性ばかり擁護するのではなく、「人々が自身と政府を同一視するようになれば、政府が個人の自由を侵害するリスクも増す」というミルの洞察も合わせて引用すべきだ。

 政府が自由を謳歌(おうか)している間に、国民の大多数の自由は委縮しつつある。政府がほしいままに作った不動産法のために、国民は住む家を選ぶ自由さえ奪われた。信用貸付を1億ウォン(約940万円)以上受けたら規制地域で家が買えなくなる法案も待機中だ。守らなければ過酷な罰が科せられる。「5・18民主化運動特別法」で歴史解釈の自由を奪い、法に背けば7年の刑に処すると脅迫する。その土台には、公共を前面に押し出して国民基本権を制約する全体主義思考がちらつく。

■「世界で最も住みやすい国」2020年版発表、韓国17位、日本は?

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