韓国には「クジラの喧嘩にエビの背中が裂ける」ということわざがある。このことわざは韓国が米国、中国の競争を懸念する際によく使われる。中国と米国が衝突すると、韓国もとばっちりで不利な状況に置かれることを指した表現だ。トランプ政権でもそうだった。南シナ海での航行の自由、香港の民主主義と人権、5Gネットワークからの華為(ファーウェイ)外し、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)問題などで韓国は選択を強要された。
バイデン大統領はまだ確定的な政策を発表していないが、それでもいくつか確実な部分がある。まず、米国が中国を「責任ある利害関係者(responsible stakeholder)」として扱った時代は終わった。オバマ政権でアジア担当補佐官だったカート・キャンベル、エリー・ラトナーの両氏は中国を「包容対象」から「戦略的ライバル」へと転換した最初の人物たちだった。彼らは中国が自由貿易秩序を利用するばかりで、政治的に開放することも、国際システムに実質的に寄与することもなかったことから、包容政策は失敗に終わったと宣言した。
第二に、トランプ前大統領とは異なり、バイデン大統領の外交・安全保障チームは中国を相手にした経験が豊富だ。ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)でインド太平洋調整官に就任したカート・キャンベル氏はオバマ政権で「アジアへの中心軸の移動(Pivot to Asia)」政策を立案した人物だ。NSCのアジア担当部局には中国の専門知識を備えた外交官エドガー・ケーガン氏、国務省とNSCで中国を担当した経歴を持つローラ・ローゼンバーガー氏がいる。国務省のアジア担当部局はベテランの中国専門家であるダニエル・クリテンブリンク駐ベトナム大使が率いるといううわさだ。