米中の競争関係で3つ目のモデルは価値観と民主主義が焦点だ。トランプ政権は両国関係で民主的価値と人権増進に関心を払わなかったが、バイデン政権は異なるだろう。香港、ウイグル、北朝鮮などどこについても米国が中国を追及し、伝統的な人権議題に回帰するとみられる。
4つ目のモデルは世界が共に直面した「世界的脅威」に関するものだ。これまで述べた3つのモデルは競争と関係あるが、4つ目は協力志向的だ。最も確かな例は世界のあらゆる指導者がウイルスを抑制し、ワクチン接種を早めるために努力しているコロナ問題だ。このカテゴリーでバイデン政権が最も強調するであろう問題は気候変動だ。バイデン大統領は気候政策があらゆる政策で普遍的な要素になることを明確にした。気候専門家のブライアン・ディーズ氏を国家経済会議(NEC)委員長に任命し、コロナ後の「グリーン経済回復計画」を立案していることからも確認できる。外交面でもジョン・ケリー元国務長官を気候変動対策の大統領特使に任命した。ケリー氏の任命は環境だけでなく、安全保障、経済、政治などNSCが下す決定が気候変動の面で天びんにかけられることを意味する。米中関係の3つのモデルは持続的な競争を起こす可能性が高いが、気候問題が米中関係にどんな影響を与えるかはまだはっきりしない。ケリー氏は中国と協力的な対話を推進し、2060年までにカーボンニュートラルを達成するという中国の約束を激励し、努力するはずだ。気候問題は過去2つの政権よりも重要な変数になるだろうが、他の3つの競争モデルを相殺するほど十分な協力的刺激を与えるかどうかは確かではない。
ビクター・チャ=米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国専門家