【コラム】静かに浸透する中国の「文化工程」

 杞憂とはいいきれない前例がある。昨年、米国映画界を震撼させた本『Feeding the Dragon』(中国に外注する。転じて中国の『属国』になるという意味)の著者クリス・フェントンは「ハリウッドは中国政府と協力して中国のイメージを美化し、今では事実上、自己検閲によって中国の宣伝パンフレットと化している」と主張した。米コーネル大学出身で中国の巨大エンターテインメント集団、DMGグループにおよそ20年勤めて重役にまでなった彼は、「告白録」のような著書を通して、2000年代からハリウッドが中国資本の顔色をうかがい、中国の好みに合わせてきた事例をつづった。最初は中国市場に進出するためだったが、いつの間にか、積極的に中国の声を反映するようになったのだ。

 映画『LOOPER/ルーパー』では、「誰もが憧れる場所=フランス」だった本来の脚本を「上海」に変えた。映画制作社の一つだったDMGに所属するフェントンが企画から参加して、ハリウッドと共に、上海を世界の中心になる未来都市に変えた-と説明した。映画『ワールド・ウォーZ』の場合、原作の小説『WORLD WAR Z』では、ウイルス感染は中国から始まったという設定だったが、これを台湾に変えた。『トップガン』の続編『トップガン マーヴェリック』(2021)では、主演トム・クルーズのフライトジャケットから日本と台湾の国旗が削除された。

 次のターゲットは「韓流」なのだろうか? 中国は、ハリウッドに比べれば「手を使わずに鼻をかむ」ようなものだ、と笑っているかもしれない。

崔宝允(チェ・ボユン)記者

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