【4月14日付社説】何かにつけて「兵役特例」論争になる世界唯一の分断国家

 韓国与野党が男性アイドルグループBTS(防弾少年団)のための「兵役特例法」改正で意見を共にしたことから、賛否両論が巻き起こっている。現行法では純粋芸術(ファインアート)のアーティストとスポーツ選手だけが兵役特例(免除・代替服務など)の対象だが、これにBTSのような大衆芸能・大衆文化の芸能人も入れようということだ。賛成派は「世界の大衆音楽界をリードするBTSがコンサートを続けた方が(兵役を務めるよりも)国益にかなっている」と主張するが、その一方で「原則に反する」という反対の声も少なくない。

 BTSは「国威発揚」と「文化暢達(ちょうたつ=のびのびと育つこと)」という兵役特例の条件を満たしている。2017年から米ビルボードなどのチャートを席巻し、K-POPや韓流ブームを世界に広めた。韓国のプロ野球選手たちが韓国代表としてアジア大会に出場し、実力が数段下のアマチュアレベルのチームに勝って容易に兵役特例を受けているのが実情だ。こうした現実で、大衆文化の芸能人だという理由で特例対象から除外されるのは公平性に問題がある。純粋芸術と大衆文化の境界線もあいまいだ。スポーツ選手は五輪とアジア大会、純粋芸術のアーティストは42のコンクールが特例基準となっているように、大衆文化の芸能人の評価基準も明確にする必要はあるだろう。

 兵役特例論争は昨日今日のことではない。2002年のサッカー・ワールドカップ(W杯)韓日共催大会でベスト4入りした韓国代表たちが特例措置を受けると、同年のアジア大会に向けてトレーニングしていた韓国代表の一部が公平性をめぐる問題を提起し、練習を拒否した。W杯ベスト16(決勝トーナメント進出)やワールド・ベースボール・クラシック(WBC)のベスト4入り特例措置は世論悪化で数年後に消えた。2014年に韓国・仁川で行われたアジア大会の時は特例者が66人も出た。野球の韓国代表は24人中13人が兵役を済ませていなかった。合法的な兵役回避への道を開いてやったも同然だったのだ。外信各社は、五輪などで野球やサッカーの韓国代表が善戦すると、「軍隊に行きたくないから必死だ」と評した。恥ずかしいことだ。

 兵役は国民の義務の中でも最も名誉なものであり、必ず果たさなければならない。そうでなければ国を守ることができない。韓国は核武装した120万人の北朝鮮軍(朝鮮人民軍)と対峙(たいじ)する分断国家だ。深刻な少子化で兵役資源も急速に減っている。そういう国で、何かにつけて兵役特例論争が起こる。「兵役免除」を恥じているのではない。何かの賞でももらうかのようにやっているからだ。またまた巻き起こった兵役特例論争を見ていると、「外国の軍隊が守ってくれる国の国民は精神が堕する」という言葉が思い出される。

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
あわせて読みたい