「韓国のデザインはクールという考えは韓流が生んだ錯視効果」

 あらゆるジャンルにコリアの「K」という文字を付け、自己陶酔する韓国社会に愛のむちが振り下ろされた。デザイナーのユ・ヨンギュ氏(51)。その名前よりも彼の手によって誕生した商品の数々の方が親しみがある。1990年代末にアルミニウムケースで「アジョシフォン」(おじさんフォン)のイメージを変えたサムスン「カクトゥギフォン」、2007年に高齢者向け携帯電話という逆発想を生かしたLG「ワインフォン」、ミッキーマウスの形状のアイリバー「Mプレーヤーアイズ」--。米ナイキ本社のデザイナー、マイクロソフト(MS)本社のクリエーティブディレクターまで務めた。

 経歴も異色だ。留学経験もなく、済州大産業デザイン科卒業で、デザイン系の名門であるソウル大、弘益大出身ではない。最近流行している「サブキャラクター」を10年以上前から持っていた。職場に通いながら、2010年から独立スタジオ(クラウド・アンド・コー)を運営。ウォルト・ディズニー、エアビーアンドビーなど世界的に有名な企業と協業した。

 順調だったユ氏は2017年、最高の待遇提示を断り、MSを退社し、フリーランスになった。理由は「韓国のデザインを知ってもらいたいから」だった。盲目的な愛国主義に陶酔するなと言う彼の心をつかんだのが愛国心だったとは意外だ。記者はソウル・延禧洞の住宅の屋上を改造したユ氏のオフィスを訪ねた。

-今や韓国はデザイン先進国だと言われる。何をさらに知ってもらいたいのか。

 「韓流による錯視効果で韓国製品がクールだと考えるは錯覚だ。全世界の美感をリードする最上位のネットワークに韓国は含まれない。私の目標は彼らに韓国のハイエンドのデザインを示すことだ。高価という意味ではなく、美感のハイエンドだ」

-最上位の美感ネットワークとは?

 「産業デザイン界を動かす有名な審美眼が存在する。例えば、デザイナー出身でエアビーアンドビーの共同創業者であるジョー・ゲビア氏、無印良品の感性をつくり出した日本の原研哉氏、ナイキのデザイン統括クリエーターだったエドワード・ボイド氏などだ。世界に韓国の匠を知ってもらいたい。伝統的概念による匠ではない。数十年も下請け業者で眼鏡や革製品を作っている人たちだ」(最近そうした人たちとの協業で作られたユ・ヨンギュの財布がニューヨークのクーパー・ヒューイット国立デザイン博物館で発売された)

【表】デザイナー ユ・ヨンギュ氏の代表作

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