ただし、「戦争可能な普通の国」への憲法改正が実現するのは現実的には難しいだろうという見方も多い。改憲勢力で結束している4政党も細かい部分ではそれぞれ異なる改憲案を主張しているうえ、安倍元首相が最も強調していた「自衛隊憲法明記」は戦争の記憶を持ち続けている国民の間で依然として反感があるからだ。安倍元首相に代わる「改憲の後続ランナー」もこれといった人物がいない。世宗研究所の陳昌洙(チン・チャンス)日本センター長は「改憲を主張する各政党はもちろん、自民党内でも統一された改憲案を作るのは容易でない状況だ」「安倍氏という強力な求心力があった時でも失敗した改憲を、安倍氏がいない状況で推進するのには限界がある」とみている。事実、朝日新聞は「特に改憲を急いでいるわけではない。数十年間行えなかった政策が多い」という匿名の首相関係者発言を10日、伝えた。安倍派所属の福田達夫自民党総務会長も同日、ラジオ番組のインタビューで「憲法改正もあるが、私たちがしなければならないことは(その他にも)山積している」と語った。日本の「歴史問題」がきちんと清算されていない状況で、日本が憲法改正を通じて再武装すれば、韓国と中国の激しい反発を招く可能性が高い。
一方、岸田政権では選挙で圧勝しても韓日関係については当分の間「視界ゼロ」の状況となる見通しだ。韓国では当初、岸田政権が中間評価である参議院選挙で大勝すれば、岸田首相が高い国政掌握力を礎に安倍元首相の影響下から抜け出し、自身のカラーを打ち出す政治を本格化させるとの期待が高かった。岸田首相は伝統的にアジア外交を重視してきた派閥「宏池会」に所属しているだけに、韓日関係改善にも速度を上げるものとみられていた。だが、安倍元首相死去で追悼ムードが高まっている中、岸田首相が安倍内閣路線と差別化された韓日友好関係回復政策を本格的に推進するのは難しいとの声が出ている。
東京=崔銀京(チェ・ウンギョン)特派員