梨泰院雑踏事故:「警察コスプレ」と勘違いされた本物の警官たち…到着が遅れた要因か

群衆が道を譲らず警察・消防の現場到着が困難に

 先週末にソウルの繁華街・梨泰院で多数の死傷者を出した雑踏事故で、事故対応が遅れた原因の一つとして、本物の警察官が「警察コスプレ」と勘違いされたことが指摘されている。多くの人々がさまざまな仮装をして街に繰り出していたため、現場に出動した警察官を見ても、「警察のコスプレをした一般人」だと思われてしまったというのだ。実際に、事故現場にいた生存者や目撃者からも、同様の話が聞かれた。

【動画】梨泰院事故発生の瞬間か? 路地の群衆が坂の上から押されるような様子

 事故に巻き込まれたAさんは31日、韓国CBSラジオ『キム・ヒョンジョンのニュースショー』で、「警察や救急車がなかなか入って来られなかった」と話した。Aさんは「(警察官はいたが)ハロウィーンなので、警察のコスプレをした普通の人だと思われ、群衆が道を空けなかった」と説明した。

 目撃者のBさんも、韓国のSBSニュースとのインタビューで「救助隊員2人が通り過ぎたが、人々は『あれ本物かな?』『あれも仮装だよね?』などと言っていた。初めはそうだった」「警察が来ても誰が来ても、その場にいた人たちは皆、ハロウィーンの仮装だと思っていた。そのため群衆は道を譲りもしなかった」と話した。

 実際に警察のコスプレをした人も多かったという目撃者の証言もある。韓国に6年住んでいるというスペイン出身のマルコ・モレッリさんは、米紙ワシントン・ポストに対し「ハロウィーンで多くの人たちが警察のコスプレをしていたため、非常に混乱した」と話した。

 しかし、現行法では一般人が警察の制服を着用すれば、懲役刑または罰金刑に処せられる可能性がある。

 警察制服および警察装備の規制に関する法律(警察制服装備法)第9条によると、警察公務員ではない人が警察の制服・装備を着用したり、使用・携帯したりしてはならない。また、これに違反した場合、6か月以下の懲役または300万ウォン(約30万円)以下の罰金・拘留、あるいは過料が科される可能性がある。

 消防士のコスプレも同様に処罰対象となる。軽犯罪処罰法第3条1項には、資格を持たない人が法令で定められた制服・勲章・紀章あるいは記念章・標章などを使用した場合、10万ウォン(約1万円)以下の罰金・拘留あるいは過料に処せられると規定されている。

キム・ガヨン記者

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