酒を飲んでも結果を残せる韓国プロ野球【萬物相】

酒を飲んでも結果を残せる韓国プロ野球【萬物相】

 韓国プロ野球の発足当初は「飲酒出場」が珍しくなかった。伝説的な投手Aが試合当日の未明まで相手チームの先発投手Bと焼酎10本、洋酒5本を飲んだというエピソードは有名だ。ところが、その日の試合でAは完封勝利した。Aがすごいというよりは、相手打者のレベルが低すぎたのだ。有名打者のCは雨で試合が中止になると思い込んでその前日に暴飲したものの、雨が降らなかったため試合に出た。それでも、ホームランを2本打った。これでは相手投手のレベルが情けないと言わざるを得ない。酒のにおいを漂わせながら打席に入った打者たち、ホームランを打ってグラウンドを回ってから、二日酔いでもどした選手たちなど、エピソードは数え切れない。

【写真】WBC期間中に深夜まで飲酒、謝罪する金広鉉投手

 サッカー選手たちは1試合当たり平均11.2キロメートル走るが、野球選手は1キロメートルにも満たないという統計がある。しかし、野球選手には瞬間的に反応する能力や爆発的なパワーなど、レベルの高い運動能力が必要だ。そのためには強靱(きょうじん)な体力が欠かせない。特にレベルの高い現代野球において、科学的な体調管理は何よりも重要だ。二日酔いの状態で運動すれば有酸素能力が11%減少する。「普段から酒を飲む人が運動関連で負傷する率は、酒を飲まない人の2倍に達する」という研究もある。

 韓国のプロ野球では飲酒運転で摘発される選手が年に数人いる。韓国野球委員会(KBO)は懲戒処分を強化したが効果がない。今回は今年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)期間中に東京都内の店で韓国代表選手たちが酒を飲んでいた事実が明らかになった。これらの選手たちは「試合前日や当日未明に酒を飲んだわけではない」と釈明した。では、試合の前々日に酒を飲むのはいいのか。騒動が広がるや、当事者であるSSGランダース金広鉉(キム・グァンヒョン)、NCダイノス李庸燦(イ・ヨンチャン)、斗山ベアーズ鄭哲元(チョン・チョルウォン)の3投手が謝罪した。

 韓国の野球選手たちが酒を飲むのは、酒を飲んでもヒットが打てたり、三振が取れたりするほど試合のレベルが低いからだ。WBCで韓国はプロ選手が少ないオーストラリアに敗れ、日本戦ではコールドゲーム負け寸前まで行った。わすか1イニングも抑えられない投手がいたありさまだった。昨年引退した選手がその年の打率ランキング最上位圏にいたのが韓国のプロ野球だ。東京五輪では40代の中年選手たちが主軸のチームに散々な目に遭った。だが、韓国チームの平均年俸はそのチームの10倍を上回っていたことだろう。

 ある野球専門家は「酒のせいで惨敗したのではなく、韓国野球の実力がその程度なのだ」と言った。韓国プロ野球ではこのところ、賭博、学生時代のいじめ・校内暴力、裏金、未成年者の性搾取、中継権不正疑惑などが相次いで明らかになっている。酒くらいはご愛嬌ということだろうか。問題は、このような人々がとてつもなく高額の年俸をもらっているということだ。

チェ・スヒョン論説委員・スポーツ部次長

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