韓国の元大学入試出題委員、模擬試験問題を作成して進学塾向けに販売していた

 韓国の大学修学能力試験(日本の大学入学共通テストに相当)の出題を担当した人物がその経歴をアピールし、模擬試験問題を作成し、全国の予備校に販売していることが20日までに明らかになった。問題の人物は数年前に放送にも出演し、大学修学能力試験の出題に参加した経験を詳細に語っていた。出題を担当する韓国教育課程評価院は、そうした事実を知りながらも何ら対応を取っていなかった。韓国政府は大学修学能力試験の元出題委員が進学塾と模擬試験問題を取引する「進学塾利権」の解明は避けられないとみている。

 本紙の取材を総合すると、「A研究所」の代表は8回にわたり大学修学能力試験の出題委員を務めた経歴をアピールして「模擬試験問題」を作成し、ソウル・江南の大手進学塾などに供給している。この人物はウェブサイトで「8回にわたり出題委員として加わった国内最高の大学修学能力試験専門家」を自称し、「国語領域の出題の過程全体と枝問構成の適切性、作品および素材の選択、問題難易度などについて、誰よりも正確かつ詳細に把握している」と主張している。A研究所は「試験を主管する韓国教育課程評価院の出題システムを完璧に再現」し、「最も本番に近い模擬試験」を開発して受験生に提供すると広告。ソウル大、延世大、高麗大出身の博士をはじめ、EBS(韓国教育放送公社)の教材や教科書の執筆陣、修学能力試験の出題委員ら60人の出題委員団が模擬試験を開発するとうたっている。問題の模擬試験はソウル・江南、釜山、大邱など全国の進学塾で実施されている。出題委員出身の教授が模擬試験業者を立ち上げ、他の出題委員出身の教授・教師が大挙参加していることを宣伝文句にしている。

 大学修学能力試験の出題を担当する韓国教育課程評価院は、毎年外部の出題委員、検討委員と交渉し、出題者グループを構成する。教授や現役教師などが加わる。委員らは約40日間合宿し、問題を出題する。しかし、一般に公表されるのは出題委員長と検討委員長だけだ。残る出題委員は出題に参加した事実を出題後に公表しないことを誓約する。それに違反すれば法的処罰を受けることもある点を告知されている。

 評価院関係者は「A研究所代表が出題委員の経歴を明らかにするのは誓約書違反だが、処罰規定を強化した2016年以前に出題に参加したため措置を取るのは困難だ」と説明した。

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