「大学のランクで生涯賃金格差」という韓国人の社会通念、現実と合致していた 

 学齢人口が急減したことで、過去80万人台を行き来していた修学能力試験(修能=日本の大学入学共通テストに当たる)の受験者数が2021学年度には50万人以下にまで低下した。しかし、入試競争はさらに激しさを増している。序列の高い大学であればあるほど良質の雇用として高額の月給を受け取れるといった認識のため、上位圏の大学に対する需要が増えたためだ。

 そしてこのほど、こうした通念が現実に合致するという研究結果が出た。7月11日、韓国経済学会学術誌経済学研究2023年2号に掲載された「大学の序列と生涯賃金格差」によると、最上位圏大学の卒業生と最下位圏大学の卒業生の間では最大で50%の賃金格差が存在していることが分かった。

 研究は1998-2017年、韓国労働パネルが提供した資料を利用して出身大学別に生涯賃金を追跡した。また、入試専門機関「進学社」から収集した全国の大学の学科別の修能平均点数に関する資料を基に、大学を5グループに分けた。グループ1は伽倻大、鮮文大、釜山外大、湖西大など49の大学が含まれた。ソウル大、高麗大、延世大、西江大、成均館大、漢陽大、中央大、韓国外大、ソウル市立大、梨花女子大、浦項工科大など16の大学は最上位グループ5に分類された。各大学の医学部は対象外とした。

 分析の結果、ほとんどの年齢帯で高い序列の大学卒業生は低い序列の大学卒業生よりも賃金が高かった。具体的には、労働市場への進入段階からグループ5の大学卒業生はグループ1の大学卒業生に比べて24.6%多い賃金を受け取っていた。その後はこの格差が次第に顕著となり、40-44歳には50.5%にまで拡大した。以降、45-49歳から賃金格差が縮まり、50代以降は10%未満に落ち着く傾向を見せた。

 論文は「こうした賃金格差の変化は働き口の特性と密接な関連がある」と論じた。上位グループの卒業生たちの多くは大企業に就職し、勤続年数に伴う賃金増加幅も高いため、生涯賃金も高い。しかし、45-49歳からは大企業での退職が本格化し、退職した勤労者たちが中小企業に再就職することにより、下位グループとの賃金格差が縮まる。

 研究は、賃金格差がさまざまな原因の相互作用を通じて発生すると主張している。序列の高い大学の卒業生たちは父親も高学歴者である割合が高かった。大学入学前からすでに高い水準の人的資本を有していたものと見られる。さらに、大学の基幹教育や友人からの良い影響により、より高い水準の人的資本を築くことができる。ここに序列の高い大学の卒業生たちは学閥やネットワークを通じて大企業により多く入社するため、生涯全般にわたって高い賃金と関連性を持つようになるということだ。

 さらに研究は「一定年齢に至るまで大学序列に伴う賃金格差にはかなりの開きが見られ、これは働き口の特徴と関連があるということを発見した」とした上で「ただし個人の能力と学閥が格差に及ぼす程度については明確に区分することができなかった」とつづった。

イ・ガヨン記者

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