韓国政界はどうか? 福島の汚染水放流を巡る論争を見ると、科学は姿を消し、垂れ幕戦争と怪談の攻防戦のみが残った。ビッグデータと人工知能(AI)が国の未来だと声を高めていた政治家らが、まさに科学的な省察の必要なときには、床に落ちたばねのように街頭へ飛び出して国民の不安感を増幅させている。科学の門外漢である野党議員らが、やはり科学とは遠く隔たった韓国政府と大統領室の関係者らを相手に、日本の汚染水処理装置(ALPS)を通して三重水素やセシウムといった放射性物質がろ過されるとかされないとか大声を上げている場面は、1本のブラックコメディーを見ているようだ。ある政治論客は「韓国は先進8カ国(主要8カ国。G8)加入を夢見ているが、1人当たりの国民所得(GNI)は依然として世界トップ20圏外」と言っており、政界の問題解決法や能力を見ると、まさしくそのレベルだ。
これは、政治家の出身背景とも深く関連しているように思う。記者が韓国の現職国会議員299人について分析してみたところ、おおむね、学生運動や労働・社会団体などいわゆる運動圏出身者が81人で最も多く、続いて補佐官出身など政党関係者(63人)、さらに法曹関係者(46人)、警察など公務員(45人)、言論関係者(22人)の順となった。科学技術者や専門経営者に分類され得る議員の数は片手の指で足りる程度だ。政党・法曹・言論出身者の中にも運動圏の経歴がある議員が相当数いることを考慮すると、運動圏の議員は優に120-130人に達する。世界がうらやむ半導体の国、世界で7番目に宇宙ロケットを打ち上げた国というのが色あせてしまうほどだ。実業家出身のある議員は「理念傾向の強い運動圏や法の論理に従う法曹出身の議員らは、異なる意見を傾聴するすべも、妥協するすべも知らない」と批判した。
韓国社会は既にかなり前から民間主導、技術が変化を主導する社会へと変わった。ピザを焼くのにもAIとビッグデータ技術を接ぎ木するほどだ。ところが韓国国会の人的構成は、依然として変化に大きく立ち遅れている。来年の総選挙が重要な理由でもある。
趙享来(チョ・ヒョンレ)副局長兼エディター(経済担当)