金正恩体制の本質を示す玄貞恩・現代G会長訪朝拒否【コラム】

現代グループから2兆ウォンの資金などをかすめ取っておきながら…
故・鄭夢憲会長20周忌追悼の訪朝は拒否
戦略レベルで活用の価値がなくなると容赦なく捨てる北、幻想から覚めるべき

 玄会長は、2018年には故・鄭夢憲会長15周忌の際に訪朝し、金剛山で追悼式を行って戻ってきた。当時、北の関係者を通して金正恩の「(鄭会長)追慕行事を無事に進めて、積極協調せよ」という伝言ももらった。

 だが、核・ミサイル先端化に成功した金正恩が対決姿勢に転換する中で、北朝鮮と特殊関係にあった現代グループの玄会長も単なる「とある人物」に格下げされた。現代グループと結んだ関係に終わりを告げた、ともいえる。

 振り返ってみると北朝鮮は1998年、当時の鄭周永(チョン・ジュヨン)会長による「1001頭の牛の群れの訪朝」を手始めに、現代グループから多大な支援を受けた。北朝鮮は90年代後半、ファン・ジャンヨプ元労働党書記が「数百万人が餓死した」と証言した大飢饉とその後遺症に苦しんでいた。このとき現代は4億5000万ドル(現在のレートで約640億円。以下同じ)を国家情報院(韓国の情報機関)の口座を通して北へ秘密裏に送金し、困窮していた金氏一家を生き永らえさせた。鄭周永会長が設立した現代峨山は、対北朝鮮投資の名目で少なくとも15億ドル(約2100億円)を使った。最近の為替レートに換算するとおよそ2兆ウォンになる巨額のカネだ。

 現代峨山は北の金剛山観光客射殺事件、哨戒艦「天安」爆沈事件、延坪島砲撃事件などで対北事業が止まり、辛うじて命脈のみ保っているが、北朝鮮は人道主義レベルの追悼式も許さなかった。現代グループが25年にわたって北朝鮮に利用された末「兔死狗烹(としくほう、ウサギを捕らえて殺したら、狩りに使った犬は用済みで、煮て食べられる)」されたのは、金正恩体制の本質を示す生々しい事例として残るだろう。

 現代グループのように、金氏一家から超大型詐欺に遭う企業が再び出ることのないようにするのが、「北朝鮮支援部」と批判される統一部(省に相当)の生まれ変わるためにやるべき最初の課題なのかもしれない。

李河遠(イ・ハウォン)論説委員

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  • ▲玄貞恩(ヒョン・ジョンウン)現代グループ会長/NEWSIS

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