朝日新聞記者の米核戦力中心地取材記

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【新刊】渡辺丘著、キム・ナムウン訳『スーパーパワー 米国の核戦力』(AKコミュニケーションズ刊)

 力のある人間というものは、他人が力を適時、適切に使えないようにすることで証明できる。「強大国」と呼ばれる米中露などが強いと言える理由は、人口・国民総生産などにとどまらず、相手を一度に無力化し得る核兵器を抜きに語ることはできない。「唯一の戦争被爆国」である日本出身で、朝日新聞の国際報道部記者などを務めた著者が、同書を通して主張している主な内容の一つだ。

【写真】「ICBMキラー」米イージス駆逐艦が済州入港

 著者は、ウクライナがロシアに侵攻された主な理由の一つも、核保有を放棄したせいでその分国防力において競争力を失ったからだ-という説明を通して、国際関係を掘り下げた。核保有国がなぜ核抑止力に重きを置くのか、実体にアプローチした。2020年に、米核戦力の中心軸の一つである大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射現場など内部の機密施設を直接取材できる許可を得て、核保有国の実体に迫っている。彼が目で確認した核兵器戦力の現場の一部は、老朽化した施設でさまざまなリスクを抱えていた。また、核兵器を使う人間の理性的判断が欠如した場合には誤用されかねない。戦争被爆国の日本でも、米国の核兵器を配備して共同運用する「核共有」の議論を求める声が高まっている現実について、被爆者などの経験談を基に、その妥当性を強調する。原題は『ルポ アメリカの核戦力』。268ページ、1万7800ウォン(約1950円)

崔宝允(チェ・ボユン)記者

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