韓国でカウンセリングが必要な生徒は25万人もいるのに関心薄い大人たち「思春期は皆同じ」

「心の病」病んでいく10-20代

 Dさん(19)は最近、手首にバーコードのように線を引いて、病院を訪れた。普段、両親と仲が悪いDさんは、夜一人でいる時、憂鬱(ゆううつ)な気持ちになると自傷行為の衝動に勝てず、身体を傷つける。一度は腕に注射針を刺し込んで血を抜くという自傷行為を行ったこともある。翰林医科大学のホン・ヒョンジュ教授は「青少年たちは、最初は少量の血を流す程度に身体を傷つけるところから始まって、少しずつ度合いを増しながら傷口深く切り付ける。やがては縫わなければならないようになる」と説明した。

 10-20代が「心の病」を患う理由はさまざまだ。延世大学医学部小児精神科のシン・ウィジン教授は「入院した学生たちをカウンセリングしてみると、ほとんどは家庭に問題がある」とし「立派な専門職の親も成績のことで子どもを叱り、塾だけに通わせることが『情緒的虐待』になり得るということを心得ていなかった」と話す。マウムヌリ学習クリニックのチョン・チャンホ院長は「最近の子どもたちは、物質的には豊かで、さまざまな学校外教育を受けることができるため、得意なものも多いが、両親の期待に応えなければならないといった圧力も非常に多く受けている世代」という。ネット上でのいじめも10代の心を傷つけている。

 ネット上に自傷行為や自殺関連の情報があふれているのも問題だ。特定のソーシャルメディアには、青少年の自傷行為の経験談や写真がリアルタイムで掲載されている。大韓精神健康医学科のキム・ドンウク会長は「青少年がソーシャルメディアに自傷行為を行った証拠を掲載することで、所属感や同質感を感じる文化までが拡散しようとしている」という。

 嘉泉大学小児精神科のペ・スンミン教授は「校内のカウンセリング機関である『ウィクラス』は、現状況では校内暴力など目に見える問題だけに集中するほかない」とし「さまざまな側面から青少年の心を察し、カウンセリングする機能をさらに構築していかなければならない」と指摘する。ソウル大学病院小児青少年精神科のキム・ジェウォン教授は「米国小児青少年科学会は、満12-18歳の小児青少年を対象に毎年1回うつ病診断の検査を受けるよう呼び掛けている」とし「韓国も年1回程度検査を受けられるようにし、危険群にいる子どもたちが入院できる病棟も増やしていかなければならない」と述べた。

崔銀京(チェ・ウンギョン)記者、オ・ユジン記者、チョン・ヘミン記者

【グラフ】自傷行為・自殺、応急患者に占める韓国10-20代の割合

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  • ▲イラスト=イ・チョルウォン
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