韓国「革新中年」をご存じですか? 空腹を知らないX世代、高度成長と民主化の恩恵を一身に(下)

■事あるごとに政権・検察のせいに

 2009年、盧武鉉元大統領が家族の収賄容疑で捜査を受け、自ら命を絶った。X世代の栄光とノサモのプライドで団結した若者たちが突然被害意識を持つようになった事件だ。

 49歳の弁護士Hさんは、「光化門の追悼行事に駆けつけ、『守ることができず申し訳ない』と言いながら、同じ年代の人々と抱き合って号泣した」と話した。Hさんは「今でも一番好きな芸能人は金済東(キム・ジェドン)であり、金於俊(キム・オジュン)放送だけを聴く」とした上で、「検察、保守メディアと戦う曺国を支持する。二度と検察にはだまされない」と語った。

 革新中年は30代の当時、職場と家庭で地位を得るために奮闘する間、保守政権が続くと、「自分が暮らしにくいのは保守のせいだ」という反感を固めたケースが多い。

 45歳の主婦Jさんは、李明博(イ・ミョンバク)政権下の2010年に結婚し、13年に朴槿恵(パク・クンヘ)政権が発足すると、「こんな絶望的な国では子どもを産まない」と宣言した。Jさんは実は不妊だった。事情を知らない義父母は「政治とお前たちの人生と何の関係があるのか」と言うと、縁を切った。

 J氏夫妻は今でも李在明、曺国両氏の犯罪疑惑について、「なぜ保守の巨悪は棚上げし、革新の小さな欠点だけを暴くのか」「検察をひっくり返さければならない」という投稿を行っている。48歳の公務員Lさんも「2014年のセウォル号惨事は文在寅(ムン・ジェイン)が大統領ならば起きなかったことだ」とし、「(反文在寅デモを行っていた)太極旗部隊の(大統領選で)『2番(尹錫悦氏)』に入れた人たちとは一生関わりたくない」と話す。

 そういう先輩たちを20~30代は呆れた表情で見つめる。「正規職を独占し、文在寅政権下で不動産価格上昇による恩恵を受けた中年層が既得権を維持しようと政治の構図をねじ曲げている」「私たちは上昇のチャンス自体が奪われたが、中年左派は『MZは歴史意識がない』と小言ばかり言う」と批判している。

 中年層の相当数は2019年の曺国問題を契機に「盲目的な革新」を切り捨てた。親盧・親文を自称していた47歳の政府系企業職員Yさんもそうだ。Yさんは「保守政権であれ進歩政権であれ、暮らしにくいのは同じだが、保守は個人が努力して成功するのを阻むことはない。ところが革新は『ザリガニ、フナ、カエルのまま幸せに生きろ』と扇動し、自分たちの特権だけを守ろうとするからうんざりした」と語った。

 50歳の金融機関役員、Kさんも「盧武鉉は唯一神、文在寅は神の息子、柳時敏(ユ・シミン)、曺国は使徒だとして仕え、それ以外を悪魔化するマルチ集団から抜け出した感覚だ」と話した。

鄭始幸(チョン・シヘン)記者

【グラフィック】革新支持が多い韓国中年層

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