高位公職者犯罪捜査処(公捜処)が尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領関連の令状棄却の事実を隠して、令状発布が容易な裁判所を探して回ったという「令状ショッピング」疑惑。この疑惑に関連して韓国検察が2月28日、公捜処に家宅捜索を行った。
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ソウル中央地検刑事1部(金昇鎬〈キム・スンホ〉部長判事)は28日、検事および捜査官を送り込んで、公捜処の尹大統領関連令状請求の内訳などを確保したと伝えられている。捜索令状には、被疑者として呉東運(オ・ドンウン)処長など公捜処関係者3人の名前が記載された。容疑は公用書類隠匿と虚偽公文書作成・行使等だという。韓国検察の関係者は「公捜処の非常戒厳捜査について告発状を受理し、関連資料を確保するため令状執行に出た」と明かした。ただし「公捜処長など被告発人個人に対する捜索ではなかった」と語った。
検察では、公捜処について、尹大統領の通信令状がソウル中央地裁で棄却された事実を隠してソウル西部地裁に尹大統領の逮捕状を請求した疑い、検察に事件を送付しつつも棄却された令状の内訳を記載しなかった疑い、国会の質疑で「尹大統領関連の令状をソウル中央地裁に請求した事実はない」と虚偽答弁書を出した疑いなどを調べている。
■公捜処の「令状ショッピング」疑惑が拡大…告発からわずか1週間で強制捜査に着手
先に尹大統領側と保守系与党「国民の力」は「公捜処が違法な令状を請求し、違法な令状に基づいて大統領を違法に逮捕・拘禁した」と主張していた。
検察が告発状受理からわずか1週間で強制捜査に乗り出した公捜処関連の疑惑は、大きく分けて三つある。第一は、朱晋佑(チュ・ジンウ)国民の力議員の質疑に対し、公捜処が虚偽答弁書を送ったという「令状棄却隠蔽」疑惑だ。朱議員は1月12日、公捜処に「尹錫悦大統領の事件と関連して逮捕状以外に捜索令状、通信令状などを中央地裁に請求したことはないか」と質問した。四日後、公捜処は「中央地裁に尹大統領の令状を請求した事実はない」と答弁した。
しかし尹大統領の弁護人団は2月21日に記者会見を開き、「公捜処は昨年12月6日に尹大統領の通信・捜索令状を中央地裁に請求して棄却されていた」として、棄却された令状を公開した。これに対し公捜処は「尹大統領が告発された事件に関連して中央地裁に令状を請求して棄却された事実はあるが、大統領室や公邸など尹大統領を直接対象とする令状を請求した事実はない」と反論した。