さらに、先の民主党政権は、国軍防諜(ぼうちょう)司令部の捜査要員を2分の1ほど大幅に削減し、軍や防衛産業に関する情報活動や防諜活動に深刻な打撃を与えました。また、過去のスパイ事件に関わった人物を国家情報院の主要核心幹部に発令し、防諜機関なのか情報流出機関なのか分からない組織として放置したりもしました。
前政権時代にこうしたことを主導した人物たちが、依然として巨大野党の核心勢力として国家安保を揺さぶっています。
現政権になって、国家情報院が国家安保の中枢機関として生まれ変わるよう努力し、国軍防諜司令部の力量補強のために努力しましたが、まだ問題の根をきちんと全てつまみ出せていません。壊して割るのは簡単でも、立て直して作るのは困難で、時間がかかるからです。
このような状況は表面的には問題ないように見えますが、実質的には戦時・事変に劣らない国家危機状況だと私は判断しています。
巨大野党は野党に対する大統領の認識をとがめる前に、公党として国家に対する責任ある姿勢と信頼を示すことを優先すべきだと思います。
私は自由民主主義憲法の原則、国家安保、核心的な国益の守る点だけ一致すれば、どんな政治勢力とも喜んで対話し、妥協する姿勢ができています。国と国民のためのことに左派、右派がどこにありますか? しかし、自由を否定する共産主義、共産党一党独裁、唯物論に基づいた全体主義が、多様なトリックでわが大韓民国に染み込むことは防がなければなりません。このような勢力と妥協して交渉してはなりません。
私たちは価値を共有していない国と交易もでき、国際協力、相互利益を追求することもできます。しかし、韓国の政治体制に影響を及ぼし、浸透することは防がなければなりません。それが国防安保ほど重要な政治安保です。それは、自由民主主義を守る道です。自由民主主義国家の公党であれば、このような勢力を擁護し、このような勢力と手を組むことは絶対にしてはならないことです。
憲法裁判官の皆さま、そして国民の皆さま。巨大野党は私が就任する前から大統領先制弾劾を主張し、相次ぐ弾劾、立法暴走、予算暴挙で政府の機能をまひさせてきました。
巨大野党はこのような暴走までも国会の正当な権限行使だと強弁します。しかし、国会の憲法上の権限は国民のために使うように与えられたものです。自分たちの政治的目的のために政府機能をまひさせることにその権限を悪用するならば、これは憲政秩序を崩壊させる国憲紊乱(びんらん)に他なりません。
また、巨大野党は、私が非常戒厳で国会の権能をまひさせようとしたとして、内乱フレームを続けています。しかし、巨大野党は、私が大統領に就任して以来、これまで継続的に粘り強く政府の権能をまひさせてきました。まるで政府をまひさせることが唯一の目標であるかのように、国会の権限を見境なく振り回してきました。
国会議員や職員の出入りも妨げず、国会の議決も全く妨げない2時間半の非常戒厳と、政府発足以来2年半にわたる弾劾、立法予算の暴挙で政府をまひさせてきた巨大野党のうち、どちらが相手の権能をまひさせ、侵害したでしょうか?
巨大野党は、国務委員(国務大臣に相当)はもちろん、放送通信委員長、検事、監査院長に至るまで弾劾し、弾劾し、また弾劾しました。弾劾事由になるかどうかは全く重要ではありませんでした。その上、巨大野党の代表を見つめたと、(法務部)長官を弾劾したりもしました。ひとまず弾劾して職務を停止させておいて、いざ憲法裁の弾劾審判では弾劾事由を勝手に変更するという荒唐無稽なことも繰り返してきました。
先日、ソウル中央地検長など検事たちに対する弾劾審判を裁判官の皆さんが直接進行されたのではありませんか? (国会の弾劾事由によると)記者会見場でうそをついたそうですが、実際にはその記者会見に出席もしておらず、国政監査で虚偽証言をしたそうですが、実際国政監査に出席もしていませんでした。基本的な弾劾事由さえ間違っているのに、ひとまず職務から停止させてみるのです。これが果たして正常なことですか?
巨大野党による公職者大量弾劾は、政府の機能をまひさせる次元を超え、憲政秩序の崩壊に突き進んでいます。
梨泰院雑踏事故が発生するや、巨大野党は連日真相究明を叫びながら惨事を政争に利用しました。挙げ句の果てに、行政安全部長官を弾劾しました。当時、北朝鮮が民主労総スパイ団に送った指令文にこんな内容があります。「今回の特大惨事を契機に、社会内部に『セウォル号』惨事真相究明闘争のような情勢局面をつくることに重点を置き、各界各層の怒りを最大限噴出させろ」。巨大野党が、北朝鮮から指令を受けたスパイ団と事実上同じことを行ったのです。これこそ、社会の葛藤と混乱を大きくする「扇動弾劾」と言えるでしょう。