尹大統領「帝王的巨大野党の暴走で国家存立の危機、戒厳後だけ見てもよく分かるのではないですか?」 弾劾審判最終陳述全文(中)

上中下全3回

 私が非常戒厳を決断した理由は、この国の絶体絶命の危機をこれ以上放置できないという切迫感、というものでした。私は主権者である国民にこのような巨大野党の反国家的な悪行を知らせ、国民に厳しい監視と批判で彼らを止めてほしいと訴えようとしました。国政のまひ状態と自由民主主義憲政秩序の崩壊を防ぎ、国家機能を正常化するために切迫した心情で非常戒厳を宣布したのです。12・3非常戒厳宣言は、国家が危機状況と非常事態に置かれていることを宣言したものです。国民を抑圧し基本権を制限しようとするのではなく、主権者である国民が非常事態の克服に直接乗り出してくださいという、切実な訴えです。

 ところが、巨大野党は私が国会の要求に応じて戒厳令を解除したその日から弾劾のエンジンをかけました。

 しかし、非常戒厳令は犯罪ではなく、国家危機を克服するための大統領の合法的権限行使です。私は緊急閣議を経て、放送を通じて非常戒厳を宣布し、その過程で巨大野党の国会独裁が亡国的独裁を招いたと考えたため、戒厳の状況で秩序維持のために国会に最小限の兵力を投入し、国会が解除要求決議をすると直ちに兵力を撤収し、国務会議(閣議に相当)を招集して戒厳令を解除しました。

 ご存じの通り、2023年に中央選挙管理委員会を含む国家機関が北朝鮮によって深刻なハッキングを受けました。中央選管はこうした事実を国家情報院から通報されたにもかかわらず、他の国家機関と違って点検にきちんと応じず、後に採用不正事件で泣く泣くやむを得ず応じた一部かつ消極的な保安点検の結果、深刻な保安問題が明らかになったため、中央選管の電算システムを検査するレベルで小規模な兵力を送ったのです。選挙の公正と直結する中央選管の電算システムセキュリティー問題は、韓国の自由民主主義体制の核心を成す公共財であり、公共資産を守ることだからです。

 しかも選挙訴訟で明らかになった大量の偽不正投票用紙、そして投票結果を納得し難いとする統計学と数理科学的論拠などに照らして、中央選挙管理委員会の電算システムに対する透明な点検の必要性は絶えず提起されてきました。

 これらの措置のどの部分が内乱であり犯罪だというのか、全く理解できません。非常戒厳そのものが不法であるならば戒厳法はなぜあるのか、合同参謀本部に戒厳課はなぜ存在しているのですか?

 憲法裁判官の皆さま、そして国民の皆さま。私は2021年6月29日、初めて政治参加を宣言しました。大統領という地位は栄光の道ではなく、いばらの道だという事実をよく知っていました。大統領職を非常に近くで見守ったある方は、韓国の大統領職は呪われた道だと言って、私を引き止めたりもしました。しかし、自由民主主義という憲政秩序が崩れている状況で、国を守りたくて政治を始めました。

 その時、政治参加を宣言しながら国民にお伝えした約束があります。私たちの未来を担う青年たち、国家のために犠牲になった方々、産業化に一生をささげた方々、民主化に献身しながらも黙々と過ごす方々、誠実に税金を納める方々、このような国民が憤怒しない国をつくるという約束でした。若者たちが思う存分駆けるダイナミックな国、自由と創意にあふれる革新の国、弱者がくじけない温かい国、国際社会と価値を共有し、責任を果たす国をつくると国民に約束しました。巨大議席と利権カルテルが国の主人の役割をすることに対抗し、奪われた主権を取り戻すと国民の前で誓いました。

 その日以来、今まで一瞬もこの約束を忘れたことがありません。国民の選択を受けて大統領になった後、この約束を守るために休まず努力し、また努力しました。

 何一つ簡単なことはありませんでした。グローバル複合危機による対外環境の困難が続きました。共に民主党政権の誤った所得主導成長政策と不動産政策は、韓国経済と民生の問題を解決する上で足を引っ張り続けました。

 しかし、どんな問題でも努力すれば解決できると信じ、実際に韓国企業、韓国国民と一緒に走りながら、一つ一つ問題を解決することができました。うれしくてやりがいのあることも多かったし、物足りなくて残念なこともありました。

 何よりも国家安全保障と国民の安全を守る、制服を着た公職者に対する処遇改善推進がやりがいのあることでした。

 先の民主党政権は反日扇動だけに熱を上げていましたが、韓国政府では一人当たりのGDP(国内総生産)が日本を上回り、韓国の人口の2倍半を超える経済大国・日本との輸出額の差は昨年わずか数十億ドル(数千億円)規模に縮まりました。20年前に比べて100分の1、前の民主党政権に比べて数十分の1に減ったのです。

 また、昨年30回も開催した全国巡回民生討論会をよく思い出します。国民の困りごとを直接聞いて、多くのことを現場で解決しながら、国民と一緒に笑ったり、一緒に泣いたりもしました。首都圏、嶺南、湖南、忠清、江原、済州に至るまで、全国全ての地域を回りながら、地域の発展計画について共に悩みました。韓国国民が全国どこに住んでいても公正な機会を享受して幸せに暮らせるようにし、真の国民統合を成し遂げたいと思いました。またそのように働く機会があるのかと思うと、心が痛いです。

 1泊4日の殺人的なスケジュールで米国に行き、韓米日キャンプ・デービッド宣言を発表した時は、本当にやりがいがあり、心強く感じました。

(下)に続く。

【手続き無視の連続】尹大統領の逮捕から勾留取り消しまで

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