巨大野党は自分たちの党代表(李在明〈イ・ジェミョン〉)を捜査する検事たちも次々と弾劾し、ソウル中央地検長まで弾劾しました。検事弾劾はそれ自体も捜査妨害ですが、検事弾劾を見守る判事たちに対する脅迫になります。野党代表に対する検察の捜査を防ぎ、野党代表の犯罪を審判する判事まで圧迫するための「防弾弾劾」なのです。
挙げ句の果てに、巨大野党は前政権の利敵行為を監査していた監査院長まで弾劾しました。巨大野党は、監査院長弾劾訴追案に「THAAD(高高度防衛ミサイル)正式配備故意遅延疑惑」監査を弾劾事由に含めました。この事件は、先の共に民主党政権下で安保に関連する高官4人が駐韓中国大使館の武官にTHAAD配備の作戦名、作戦日時、作戦内容など国家機密情報を渡したスパイ事件です。監査院はこれを摘発し、検察に捜査を依頼するなど監査措置を進めていましたが、これが弾劾事由だということです。自分たちのスパイ行為をもみ消すための「利敵弾劾」と言わざるを得ません。
憲法機関である監査院長に対する無差別弾劾はそれ自体でも深刻な憲法破壊行為ですが、利敵行為まで弾劾で覆い隠すのを見て、これこそ自由民主主義を崩す亡国的危機状況だと判断したのです。
また一方で、政府の各省庁は国民の税金で莫大(ばくだい)な規模の予算を使用、執行しています。数多くの傘下機関も率いています。ところが、このような省庁のトップらを弾劾訴追で職務停止させて、省庁の機能をまひさせたり、深刻に阻害したりすれば、機会費用と財政面でも国と国民にどれほど莫大な経済的被害を与えることになるでしょうか?
巨大野党は公職者を無差別的に弾劾訴追し、訴追人団弁護士費用も国民の税金を使用していますが、納得し難い理由で弾劾訴追された公職者たちは職務が停止された状況で自分の個人資金で弁護士費用まで調達しなければなりません。政府の公職者たちは巨大野党のこのような暴挙に限りなく萎縮するほかありません。
このように巨大野党は「扇動弾劾」「防弾弾劾」「利敵弾劾」で大韓民国を崩壊させています。
韓国の選挙の中で大統領選挙は期間が最も長く、国民的関心も最も大きいです。それだけ直接選挙で選出された大統領の民主的正当性は他の選出職の公職者に比べてその重さが違います。かつての韓国の民主化運動は、一言で言えば大統領直接選挙制の確保だったとも言えます。
さて、巨大野党は大統領選挙が終わるやいなや同調勢力と連帯し、まだ就任もしていない大統領当選者を相手に先制弾劾、退陣運動を繰り広げ始め、この2年半の間、ひたすら大統領を引きずり下ろすことを目指した政府公職者大量弾劾、立法と予算暴挙を続けてきました。憲法が定めた正当なけん制と均衡ではなく、民主的正当性の象徴である直接選挙で選出された大統領を引きずり下ろす工作を休むことなく行ってきたのです。これが憲法紊乱でなければ、一体どのようなものが憲法紊乱行為なのでしょうか?
それだけでなく、巨大野党のこのような持続的な憲法紊乱行為は、国家のアイデンティティーと対外関係において、自由民主主義憲法の精神と懸け離れた認識に基づいています。
そのため、直接選挙で選出された大統領を引きずり下ろすための大量弾劾、立法予算の暴挙は、どの面から見ても自由民主主義の憲政秩序を破壊するものです。
俗に大統領中心制の権力構造をもって帝王的大統領制と言います。しかし今の韓国は、帝王的大統領ではなく帝王的巨大野党の時代です。そして、帝王的巨大野党の暴走が大韓民国存立の危機を招いています。戒厳以後に起こったことだけ見てもよく分かるのではないですか?
私が本当に帝王的な大統領であれば、高位公職者犯罪捜査処(公捜処)、警察、検察が先を争って私を捜査すると言い出し、内乱罪の捜査権もない公捜処が令状ショッピング、公文書偽造までして私を逮捕することができたでしょうか? 私も捜査業務に26年従事しましたが、このように多くの捜査機関が無差別的に一つの事件に飛びかかる姿は見たことがありません。
非常戒厳に投入された軍兵力は合わせて570人に過ぎませんが、非合法的に大統領一人の逮捕を狙って大統領官邸に3000~4000人を超える警察力を動員しました。大統領と巨大野党のうち、どちらが帝王的権力を振るって憲政秩序を崩壊させていますか?