「大統領尹錫悦の違憲・違法行為は国民の信任を裏切り、容認できない重大な違反」【4月4日判決要旨全文】 弾劾審判

 ②国会への軍と警察の投入について見ていきます。

 被請求人は、国防長官に国会に軍隊を投入するよう指示しました。これに兵士たちはヘリなどを利用して国会敷地内に進入し、一部は窓ガラスを割って本館の内部に入ったりもしました。被請求人は、(編注:郭種根〈クァク・チョングン〉)陸軍特殊戦司令官などに「議決定足数が満たされていないようなので、ドアを壊して入って中にいる人員を引っ張り出せ」などと指示しました。

 また、被請求人は、警察庁長に戒厳司令官を通じてこの事件の布告令の内容を知らせ、直接6回電話したりもしました。これに対し警察庁長は、国会の出入りを全面遮断させました。このため、国会に集まっていた国会議員の一部は塀を越えなければならなかったり、立ち入ることができなかったりしました。

 一方、国防部長官は、必要に応じて逮捕する目的で国軍防諜(ぼうちょう)司令官に国会議長、各政党の代表など14人の位置を確認するよう指示しました。被請求人は(編注:洪壮源〈ホン・ジャンウォン〉)国家情報院第1次長に電話して国軍防諜司令部を支援するように命じ、国軍防諜司令官は国家情報院第1次長に上記の人々に対する位置確認を要請しました。

 このように被請求人は軍と警察を投入して国会議員の国会への出入りを統制する一方、彼らを引っ張り出せと指示することで国会の権限行使を妨害したため、国会に戒厳解除要求権を付与した憲法条項に違反し、国会議員の審議・票決権・不逮捕特権を侵害しました。

 また、各政党の代表などに対する位置確認の試みに関与することで、政党活動の自由を侵害しました。

 被請求人は、国会の権限行使を防ぐなど政治的目的で兵力を投入することで、国家安全保障と国土防衛を使命とし、国のために奉仕してきた軍人たちを一般市民と対峙(たいじ)させました。この点において、被請求人は国軍の政治的中立性を侵害し、憲法による国軍統帥義務に違反しました。

 ③この事件の布告令発令について見ていきます。

 被請求人は、この事件の布告令を通じて国会・地方議会・政党の活動を禁止することで、国会に戒厳解除要求権を付与した憲法条項、政党制度を定めた憲法の条項と代議民主主義、権力分立の原則などに違反しました。

 非常戒厳下で基本権を制限するための要件を定めた憲法および戒厳法の条項、令状主義に反して国民の政治的基本権・団体行動権・職業の自由などを侵害しました。

 ④中央選挙管理委員会に対する押収捜索について見てみます。

 被請求人は、国防部長官に兵力を動員して選管の電算システムを点検するよう指示しました。これに伴い、中央選管の庁舎に投入された兵力は(庁舎への)出入り統制をしながら当直者たちの携帯電話を押収し、電算システムを撮影しました。選管に対して令状なしに押収捜索を行ったことは令状主義に反すると同時に、選管の独立性を侵害しています。

 ⑤法曹関係者に対する位置確認の試みについて見てみます。

 先に申し上げたように、被請求人は必要時に逮捕する目的で行われた位置確認の試みに関与しましたが、その対象には退任したばかりの元最高裁長官および元最高裁判事も含まれていました。これは現職裁判官たちにとって、いつでも行政府によって逮捕対象になり得るという圧力を受けさせるもので、司法権の独立を侵害しています。

【表】適法性巡る憲法裁の判断

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