「大統領尹錫悦の違憲・違法行為は国民の信任を裏切り、容認できない重大な違反」【4月4日判決要旨全文】 弾劾審判

 これまで見てきた被請求人の法違反行為が被請求人を罷免するほど重大なものなのかについて見ていきます。

 被請求人は、国会との対立状況を打開する目的で、この事件の戒厳宣布した後、軍や警察を投入して国会の憲法上の権限行使を妨害することで、国民主権主義や民主主義を否定し、兵力を投入して中央選管を捜索するなど、憲法が定めた統治構造を無視し、この事件の布告令を発令することで国民の基本権は広範囲に侵害されました。

 このような行為は、法治国家の原理と民主国家の原理の基本原則に反するもので、それ自体が憲法秩序を侵害し、民主共和政の安定性に深刻な危害を及ぼしました。

 一方、国会が迅速に非常戒厳解除要求決議をすることができたのは、市民の抵抗と軍と警察の消極的な任務遂行のおかげであり、これは被請求人の法違反に対する重大性の判断に影響を及ぼしません。

 大統領の権限はあくまでも憲法によって与えられたものです。被請求人は最も慎重に行使されるべき権限である国家緊急権を憲法で定めた限界を超えて行使し、大統領としての権限行使に対する不信を招きました。

 被請求人が就任して以来、野党主導の、異例の多さの弾劾訴追によって、複数の高位公職者の権限行使が弾劾審判中に停止されました。2025年度予算案に関して、憲政史上初めて、国会予算決算特別委員会で増額なしの減額についてのみ野党単独で議決されました。

 被請求人が樹立した主要政策は野党の反対で施行できず、野党は政府が反対する法律案を一方的に通過させ、被請求人の再議要求と国会の法律案議決が繰り返されたりもしました。

 その過程で、被請求人は野党の専横で国政がまひし、国益が著しく阻害されていると認識し、これを何とか打開しなければならないという重大な責任感を感じるようになったものとみられます。

 被請求人が国会の権限行使は権力乱用だとか、国政まひを招く行為だと判断したことは、政治的に尊重されなければなりません。しかし、被請求人と国会との間で発生した対立は、一方の責任に属するとは考えにくく、これは民主主義の原理によって解消されるべき政治上の問題です。これに関する政治的見解の表明や公的な意思決定は、憲法上保障される民主主義と調和する範囲で行われなければなりません。

 国会は少数意見を尊重し、政府との関係で寛容と自制を前提に対話と妥協を通じて結論を導き出すよう努力すべきでした。被請求人も国民の代表である国会を協治の対象として尊重すべきでした。にもかかわらず、被請求人は国会を排除の対象にしました。これは民主政治の前提を壊すことであって、民主主義と調和するとは見なしがたいです。

 被請求人は、国会の権限行使が多数の横暴だと判断したとしても、憲法が見込んだ自力救済策を通じて、けん制と均衡が実現できるようにすべきでした。被請求人は就任から約2年後に行われた国会議員選挙で被請求人が国政を主導するよう国民を説得する機会がありました。その結果が被請求人の意図に符合しなくても、野党を支持した国民の意思を排除しようとする試みをしてはなりませんでした。

 それにもかかわらず、被請求人は憲法と法律に違反してこの事件の戒厳宣布することにより、国家緊急権乱用の歴史を再現し、国民を衝撃に陥れ、社会・経済・政治・外交の全分野で混乱を引き起こしました。

 国民全員の大統領として、自分を支持する国民を超えて、社会共同体を統合させるべき責務に反しました。

 軍と警察を動員して国会など憲法機関の権限を傷つけ、国民の基本的人権を侵害することで、憲法守護の責務を放棄し、民主共和国の主権者である韓国国民の信任を重大に裏切りました。

 要するに、被請求人の違憲・違法行為は国民の信任を裏切ったもので、憲法守護の観点から容認できない重大な法違反行為に該当します。

 被請求人の法違反行為が憲法秩序に及ぼした否定的影響と波及効果が重大なため、被請求人を罷免することによって得る憲法守護の利益が大統領罷免に伴う国家的な損失を圧倒するほど大きいと認められます。

 これに対し、裁判官全員の一致した意見で主文を宣告します。弾劾事件ですので、宣告時刻を確認します。今の時刻は午前11時22分です。

 主文、被請求人・大統領尹錫悦を罷免する。

 これで判決を終えます。

【表】適法性巡る憲法裁の判断

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